銀沖小説[心理攻防戦]

●銀魂の坂田銀時、沖田総悟のカップリング小説です●BL展開ですので苦手な方は回避お願いいたします●銀魂©空知英秋の二次創作で妄想です

銀時「セリフ」心理描写→沖田「セリフ」心理描写→銀時「セリフ」心理描写…と続きます。二人の心理を神の視点で読み取って楽しんでください。


恋人同士なってもなお、何故駆け引きしてしまうのか。
主導権を握るためか、お互いのドS性質が故のものか。
今夜もまた町外れの居酒屋で、静かな攻防戦が始まる。

「明日から近藤さんと土方が地方へ遠征なんでさァ」
新隊士の募集遠征。今回俺はお供出来ない。二人がいない江戸を任されるという嬉しさとともに感じるほんの少しの寂しさ。


「ノビノビ出来ていいじゃねぇか。や、お前は誰が居ても居なくても自由だったわ」
…なんだよいつもより寂しそうだったのはそのせいか。恋人との久々の逢瀬だろ、集中しろよ。俺のことだけ考えとけよ。

沖田といつも一緒にいる真選組に対する銀時の嫉妬心は大きい。
大人ぶって余裕を見せているが内心穏やかじゃない。

「それなら明日までゆっくりできるな」
気持ちを切り替える。妬いてる場合じゃねぇ。
沖田くんを朝まで、なんなら昼まで、俺んところに置いとけるんじゃねーのか?

「逆でさ旦那。朝早く出立なんで見送らなきゃなんねェんでさ」
ガキみていな拘りだが安心して任せてくれと言って送り出したい。

「朝って何時?じゃあそれまで一緒に寝てくれんだよな」
まぁ寝かせねーけど。銀さん沖田くん相手なら1晩5回はいけるから。

「…今日は、帰りやす」
エロい目して俺のこと見るんじゃねーよ。
うんって返事しちまいそうだ。

「帰りたくねぇって顔してっけどな」
そんな顔すんじゃねーよ。
うつ向いて頬染めて、カワイイなぁオイ!
許しちまいそうになるだろ。

「旦那しつけーから。まあ比較する相手が居ねェんで普通なのかもしんねぇですが」
求められるのは嫌じゃない。
あんなに誰からも愛される坂田銀時に、俺だけが愛されてるんじゃないかって錯覚できる、むしろ嬉しい

「お前だからだよ」
眉毛と目を近づけて言ってやる。これで落ちるだろ。

銀時はキメ顔とよくあるセリフで沖田を落としにかかった。

「あんま信用できねえなァ、胡散臭い」
こんなやっすい言葉でも嬉しいと思っちまうなんざ、俺は末期か?

「神楽はしばらく宇宙に行ってるし、新八も明日はお通ちゃんのライブで休みだ。おれ寂しい沖田くん」
今度は甘えモードで揺さぶる。これでどうだ!

「アイツらが居ねえから俺なんですかィ?」
がっかりした。
なんだよ、結局一番は万事屋なんじゃねぇか。

「アイツらが居ねえから思う存分イチャイチャできるって言ってんの!」
お前がいつも気を使うから。俺はいつだって沖田くんを一番にしたいと思ってんのに逃げてんのはお前だろ。

お互いに大事なものがあるし理解もしている。それでも一番になりたいしさせたいし、して欲しい。

「今日は屯所で寝ますぜ。近藤さん遠征の朝は俺が起きる前に部屋に入ってきて頬ずりするんでさ。総悟行ってくるなーとか言いながら」
俺が寝床に居なかったら近藤さんは寂しがるだろう。
それに俺はアイツらが居ないなんて聞いたら、旦那と離れがたくなる。
ずっと一緒に居たくなっちまう。

「聞き捨てならねぇな。何だよ部屋に入ってきて頬ずりって。ガキじゃあるめぇし止めさせろ!」
俺の沖田くんに気安く触るんじゃねーよストーカーゴリラ!!!

「ガキの頃からの習慣でさ。近藤さんにとっちゃいまでもガキなんですよ俺ァ」
時々ふざけてほっぺにちゅーされることはコレ死んでも言えねェな。旦那の目の奥が鈍く光ってる、若干殺気が出てる。

「お前は十分大人だろ。銀さんとあんなこともこんなことも経験済みなんだから」
そうだよお前。俺と付き合いだして色気が増してんの自覚してねーだろ、危ねぇんだよ!

「とにかく習慣なんですから、俺は帰りやす」
あー余計な事を言っちまった。どうも素直になれねえ。本音は離れがたくなるから帰りてぇだけなのに。

「そんなこと言われて俺がお前を帰すと思ってんの?意地でも真選組には返さねえ」
真選組一番隊隊長のお前にも惚れてる。でもな、本音は俺だけの沖田総悟にしたい。そんな女々しいこと口には出せねえけどな。

「旦那ァ、俺だって一緒に居たいんでさ。また機会つくりやすから」
上目遣いの甘え顔。これでいつも旦那は落ちる。意外とちょろい。

「狙ってる顔しやがって、かわいくねーわ」
いつもは可愛くてしょうがないが、近藤のためにやってるのが見え見えで怒りしか湧いてこない。

「ひでぇ言い方しやすね、旦那…」
今度は泣き落としだ。今日は目薬を持ち合わせていないが俯いたら何とかなるか?腐れ副長には一番効果的な方法だ。

「銀さんは騙されねぇよ。お前とどれだけ付き合ってると思ってんだ」
大方こんなこと近藤や土方にやって甘えてんだろ。許せねえ!こんなデレ、こんなカワイイ沖田くんの顔、アイツら何度も見てやがんな。

「旦那がそんなに意固地な人とは思いやせんでした。見損ないやした!」
周囲の客がこちら側を見るほどガタっと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。
今度は怒り演出だ。立てかけておいた菊一文字手にして外に出ようとする。

「ふざけるな」
沖田くんの手を掴んでやる。行かせねぇよ。俺を怒らせて、ああ勝手にしろ行っちまえ!ってのを期待してたんだろ。今日の俺はやけに冷静だった。この機会に俺と真選組、どちらを大事にしているのか聞き出したい気持ちがあったのかもしれない。

「…ふぅ。旦那にはかなわねェ。座りやすから手離してくだせェ。
こうなったら本音いいまさァ。近藤さんと土方さんが遠征の間は俺が江戸を任されてやす。安心させたいし、朝きちんと送り出したいんですよ」
アンタとずっと一緒に居たくなるから、そしたら俺は一番隊隊長として立っていられなくなるかもしれねえのが怖いんです。その気持ちは仕舞っておく。

「それなら出立の1時間前には屯所にバイクで送ってやる。それまで居れんだろ」
こうなったら俺も引けねぇ。

心理攻防戦は佳境を迎える。銀時は真選組から奪ってしまいたいという本音を、沖田は離れがたくなるのが怖いという本音を隠しながら。

「エッチしたあと親に会うような気まずさ、それこそ嫌でさ」
アンタにも言ってたじゃねーか、顔がとろけるって。そんなの近藤さんや土方には一生見せたくねぇ!

「あれぇ?沖田くんヤルつもりだった?俺そんなこと言ってねーけど」
ほら期待してんじゃねーか。素直になって銀さんの腕に落ちてきなさい。

「ヤルとは言ってねぇ。朝帰り自体ばれたら恥ずかしいって言ってんでさ!」
ちっ、しくった。
俺だって、ホントは旦那としてえ。もう1ヶ月近くできなかったんだから触れ合いてぇと思うのはしょうがねえだろ。

「素直になったら沖田くんもっと可愛いのに」
意地っ張りのお前も好きだが、時には甘えて欲しいわけよ。

「素直な奴が良いなら、他を当たりなせェ」
俺だって、旦那の前でそうなりたい時もある。でも簡単にゃ出来ねえ、これが俺の性質だ。

「あーそー。そーですか!じゃあ今日は、吉原で銀さん銀さん言ってくる女でも引っ掛けて性欲満たすか」
大人げないと思うが俺が近藤土方に嫉妬してる気持ちを、沖田くんにも味合わせたかった。
あわよくば、行かないで旦那なんて縋ってくるカワイイ姿が見たかった。

「金なし甲斐性なし天パマダオを誰が相手にするんですかィ?」
旦那、俺に妬かせようとしてるわ。子供じみてんな。

「自分がサラサラスレートだからって天パを入れんじゃねぇ!
俺は吉原の救世主だからモテんのよ。それに意外にあんのよ俺への好意、お前には言ってねぇけど」
うそ。沖田くんが好きだと気づいてから、決めた相手がいるとあちこちで言ってきた。最近はそのせいもあって、そっち目的の女が寄り付かねえ。

「っ、……病気うつされたり、面倒なことになったらどうするんです?止めなせェ」
旦那が好かれているのは知ってる。いつか俺が捨てられるんじゃないかという恐怖感もある。
だから軽口で応戦できなかった。

「止めて欲しいんだ沖田くん」
嬉しくなって覗き込む。瞳の奥が揺れてる。
コイツ自分が愛されてる自信が持ててない。お前以外に目移りする訳ねーだろ。

「旦那がそう言って欲しそうだったから、ご期待に応えただけでさァ」
また旦那のペースに引き込まれる。いつもそうだ。俺がいくらドSでも、年季の入ったドSには勝てねーのか?それとも坂田銀時が口では誰にも負けたことないほどの奴だからか。

「なあ、俺はお前と一緒にいてぇ」
俺が先に素直になってやる。お前も素直になっちまいな。

「旦那…」
ずるい。そんな優しい顔して見られたら流される。

「頬ずりだったら俺がいくらでもしてやる。親離れしろよ、ゴリラ離れしろよ」
頬ずりなんて絶対にさせねぇよ。沖田くんの寝床に入ってくるなんて金輪際許さねぇ。今日は沖田くんが帰れなくなるように足腰立たなくなるまでヤってやる。

「旦那、全部口に出てます」
やっぱり、そんなことだろうと思ったけど。

「あれ銀さん全部話してた?ならもう駆け引き止めだ!俺はアイツらに嫉妬してる。沖田くんとの絆が強くて入り込めない所に。だから帰したくねぇ、これが本音だ」
隠してもしょうがねえわ。沖田くんに惚れてるのは事実なんだからよ。

「…俺もアイツらに妬きました。万事屋誰も居ないから俺を呼びたいって、やっぱり一番ではないのかなんて女々しいこと思っちまいやした、すいやせん」
俺も男だ。旦那がいつも言わねぇ本心言ってくれたのに、俺だけ隠すような卑怯な真似は憚られる。

「似た者同士だな」
知ってたよ。でも俺が万事屋よりも沖田くんを優先したら、お前は逃げるだろ。

「へい」
大事なモン抱えて、たとえ一番じゃなくても、お互いに大切にし合える関係性も好きですぜ。俺たちにゃお似合いだ。

「んー、なら折衷案。屯所まで送るわ。それでいいだろ」
淋しいから誰かと一緒に居たい訳じゃない。お前と一緒の時間が欲しいだけ。

「ありがとうごぜーやす旦那」
俺もここで離れるのは辛かった。少しでも一緒にいる時間が長くなることが嬉しくてたまらない。

居酒屋を出た銀時と沖田は屯所までの道のりをゆっくり歩く。
もうお互い意地の張り合いも、駆け引きも無しで話す。

屯所の前に着いてしまう。いよいよ離れがたい。

「キスさせろ」「命令ですかィ?」

気持ちが流れ込んでくる。唾液とともに愛情を交換する。

「無理だな」「無理ですねィ」
やっぱり離れられない。

「万事屋テメエ!なに総悟の布団に入り込んでんだ!!お前らどういう関係だ!!!表出ろ!たたき斬ってやる!!!!!」
「総悟なんで万事屋と抱き合って寝てんの?どうして衣服が乱れてんの?総悟はそんなふしだらな子じゃないよね、総悟は何もしてないよね、いやああああ」

翌朝、沖田の部屋の襖を開けた土方と近藤が絶叫する。
屯所で愛し合った二人と遠征など中止にしようという保護者二人の修羅場がやってくる。

おわり。

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