見出し画像

しまなみ海道&UFOライン(敗退) 240906-09




基本計画

18きっぷ期間の最終週末に4日分残っているという状況に陥った。このままドブに捨てるのは流石にもったいなく、使い切りを目指し急遽かつしかし何度も慎重に検討を繰り返し以下の計画を固めた

D0 前日移動 ~岡山
D1 しまなみ海道 
      90km, +1196 -1192 est 5:24
D2 UFOライン 
      137km, +3533 -3558 est 9:17
D3 倉敷・玉野シーサイドルート 
      101km, +1562 -1552 est 6:12
※但しD3は敗退時の予備日として扱う

携行品
乾燥重量で7.2kg
行動食0.6kg
水2リットル
約10kg

天候状況
D1 尾道 晴れ 34/25
D2 松山 晴れ 33/23 瓶ヶ森登山指数A
D3 倉敷 晴れ 34/25

道路状況
石鎚山系公式ウェブサイト
2024.09.02 町道瓶ケ森線(UFOライン)の通行規制が解除されました。気をつけてお越しください。

D0 前日移動日

さっさと仕事を片付け18きっぷで長駆、岡山へ。JR琵琶湖線新快速は、米原から播州赤穂まで、滋賀、京都、大阪、兵庫を一気通貫にワンライドで行ける、西の湘南新宿線だ

まぁ、姫路までが都市圏。その先は、降車客がメインとなりだんだん空いていく、途中高校の最寄り駅では部活帰りの学生さんがわんさか乗り込んでくる地方路線だ

播州赤穂で乗り換え、その先は脱線するんじゃないかとビビるほどバンピー、座ってても揺れすぎて本が読めない。保守費用の格差に笑った。金かけてもらってないね

夕食は来来亭でがっつり定食。七味がピリッと利いた濃い味の鶏ガラ醤油スープに細麺がうまい。本店は野洲。ちょっと高いけどなんかこのチェーン店ありだな

D1 しまなみ海道

始発で尾道着07:08。駅前から渡船で向島へ。ここが総工費7300億円のしまなみ海道のサイクリングコースの始まりだ

渡船は完全に生活の足となっており、時刻表はなく、タイミングよく人や自転車やバイクをのせて往復し続ける運行状況。その先はブルーペイントや案内板に従えば今治まで連れてってくれる

最初の因島大橋、これおぉ、サンフランシスコ・ベイブリッジを思い出させてくれる。一世一代の旅で一回しか行ったことないけど、色褪せることのない思い出として何度でも蘇る。しかも年数が経つほど良い思い出として熟成されていく。やっぱモノよりコト消費だよね

その先は海沿いや集落を避けながらコースを辿っていく。車や信号が少なくよく設計されたルートだ。コースそのものが見どころだが、特別何も無い。因島水軍城に行こうか悩んだが、水軍の拠点がなぜか山頂にあり、調べてみるとようは、お城風資料館。開館時間前だし当然スルー

ド定番のサイクリングの聖地碑でオノボリよろしく記念撮影、全国からサイクリストが集結し、長蛇の列をなすことなんてまったくなく俺様専用。ホントに聖地?って心細くなってしまった

コンテンツの消化が早すぎるため道の駅のマリンオアシスはかたで大休止。券売機にPOP広告が打たれていて自らB級グルメとなのる焼豚玉子飯、味噌汁付きを注文した。やっぱ意識高い俺は常に1ランク上を目指さないとね。

ご飯の上に、チャシューと甘いタレ。仕上げに2つ目玉の卵焼き、濃厚の黄身が絡みついてうまい。これ家でも完コピできそうだ。今度から事前計画の検索クエリにB級グルメを加えておこう

時間があまりそうだから村上海賊ミュージアムへ、村上水軍の幟が乱立するけばけばしいがっかりな外観。パチンコ屋じゃないんだしもうちょっとなんとかならんのか?

展示内容は歴史博物館あるあるで、ジオラマ、武具、古文書、発掘品、系図など基本は抑えてあるが撮影禁止。ま、いいんだけど全部憶えきれないからからその薄っぺらのパンフレットにポイントをまとめておいてほしいぜ。

印象に残ったのは、海賊の業務内容は、海上警備と水先案内でわりとまとも。沿岸の村々を襲って金品と食料を奪い、娘を攫って行くような野蛮な奴らじゃないということ

海道一番のバエスポットの亀老山展望台へヒルクライム、勾配表示がされていて序盤は5~9%、最後は10~15%とだんだんきつくなる仕様。ギラギラ照りつける暑さでマジ辛い登りだ。途中、軽装のガチローディがへばって日陰に座り込んでいた

残り距離の表示に、あと1キロと残り距離に加え、がんばって!藻塩アイスが待ってるよ、と秀逸なセールストークにつられ、ふらふらで到着後、いの一番に藻塩アイスを発注、おばちゃんに、大盛りにしといてやと泣きを入れた

一息入れて振り返ってみると標高301mでスペック的には全然大した事ない。こんなフラフラで大丈夫か俺。と明日のことがちょっと心配になった。まぁ、でも、本職のローディーもへばるような坂道を休むこと無く淡々と登りきった自分を肯定しておいた

今治市サイクリングターミナルへ到着、立派な箱物だ。ただ俺様専用。ホント大丈夫なのかこんなに金かけて。オーシャンビューのソファーに腰掛け、コーラをいただきながらゆっくり休憩できた

そこから先、今治駅までは市街地を通り抜ける、信号待ちやら他交通で普通の道、特別感はない。今治駅前にはウッドデッキと大きなテーブル、また市営のサイクリングターミナルで貸自転車やGIANTがあって、今治のほうがサイクリングに力入れている感があった

電化はされているものの単線のJR予讃線で松山に17時過ぎ着。楽しみにしていた道後温泉へむかう。風情のある建屋が絵になるなぁ

オフロに入ったあと休憩室でお茶をいただくまでが作法のようだが、時間がないのでお風呂だけにした。浴室は25名分ほどのよく銭湯にある固定シャワーと蛇口が壁沿いに並び、中央に浴槽があるのだが人多すぎ。かつ長居させないためか、腰を落ち着けるには深すぎてなんだか落ち着かない中途半端な深さ。ま、さっぱりしたからいいや

松山城は現存天守カテゴリに分類されるものの天守の復元が1854年で最も新しいという中途半端さ。街の中心部の標高134mの勝山山頂に築かれ割と本格的だ。ライトアップがされ城下町を見下ろす。今回は暑すぎてパスだがまた来ることがあればぜひ立ち寄りたい。松山市街は、路面電車や私鉄、デパートとか割とコンテンツ盛りだくさんの地方都市の風情があった

D2 UFOライン

計測開始は3:33、ゾロ目。悪くないスタートだ。市街地を抜けると満天の星空。美しい。街灯がなく、家の明かりがポツポツっとあるのみ、心細いが天下の国道11号を爽快に風を切って駆け抜ける。

俺様専用のすき家で朝食をいただく、腹ごしらえを終えたあとまた快調に国道を飛ばす。再び町並みが明るくなってきた次の東温市だろうか、ふと青標識を確認してみると県庁まで2キロ。れれれ。戻ってきちゃったよ。相変わらずミスった。振り出しに戻って10キロロス、ま、この時間だからウォーミングアップだね。と気を取り直し回れ右

その後は割と快調に11号を飛ばす。ラストコンビニはセブンイレブン東温北方店だが、その前のファミマで休憩。昨日のしまなみ海道の自転車通行無料化協賛スポンサーウォールにファミマがあったからね。経営には1ミリも影響ないだろうけど、こういうところで応援しておきたい

そして山岳ステージ開始の国道494号へ。いきなり通行止めの案内が。石槌山ヒルクライムだって。ここまで来てまじかよ。立ち止まって第一回状況評価を実施。大会サイトを確認スタートは9時、交通規制解除は11時。道路脇の表示には7:15~14:00まで通行止めだと。迂回ルートが書いてあるようでとりあえず写真撮影しておく

しかし、ヒルクライム主催団体は連携事業体に入っているが事前に確認した石槌山公式Webにはやっぱり1ミリも触れていない。なにが公式だクソ、とやり場のない怒りが湧いた。ま、交通規制解除が11時ならそれほど影響はないだろう。体力消耗を避けて時間調整しながらゆっくり行こうっと。気を取り直して前進を決定した

国道494号は、センターラインのない1.5車線、杉林や人工林を通り抜ける、ところどころに切り通しのある典型的な林道。でもこれもしかして酷道?とか思った。吹き下ろしてくる涼風が気持ちいい。眺望の良いところで写真を取っていると今日唯一出会ったローディーが一人で登ってきた。おはようございます!と挨拶すると、妙齢のローディーだったのに驚いた。よおこんな山深いところ一人で来るわ。山頂の黒森峠で再会した

標識をバックに記念撮影されていたので、写真撮りましょうか?と申し出。彼女はヒルクライム大会に仲間の応援に行くんだと。今日は仕事があって出場できるかわからなかったので不参加。俺がぜいぜい言いながら登ってきた黒森峠はユルユルだけど、石槌山は獲得標高1000mくらいありますよ~。通行止めはひょっとすると自転車なら通してくれるかもしれない。というお言葉に淡い期待を抱いた

おもごふるさとの駅がイベント会場となっていてバイクラックやメーカーブースとかある。10時過ぎにフラフラと通過。こういう場所では知らんふりして通るのが一番。下手に確認すると、大会関係者としては通れませんと言うしかない。暗黙の大人の世界、無事に切り抜けられた。おっしゃー!

そのまま登っていくと石鎚スカイライン関門ゲートに愛媛県警が道路封鎖中。「今日は」通れませんよ。といわれ、いや11時で規制解除ですよね。と返したら、ここまでは規制解除するけどね。と、なんかうぜえ。でも2時には交通規制解除ですよね。と切り替えし、ここで待たせてもらいますわ。と停滞。全然不親切なポリ公で知識がなければ今日は終日通行止めと思うような説明の仕方。なんか印象ワル

ほんとUFOラインの取り付きで通せんぼにあってしまった。やることないのでまずは本日第二回目の状況評価。あきらめて松山へ帰還、いま来た道を回れ右62キロ。伊予小松へエスケープ62キロ、予定通りのコースを完走する、72キロ。これなら若干無理してでも初志貫徹するしかないだろう。サンクコストも考慮すると、ここであきらめたら多分もう二度とこないなと前進を決定。十分に休息を取ることにした。良く捉えれば、10-14時という日光が強い時間帯に休憩できたということだ。持ってきた文庫本の続きを読んで暇をつぶす。いやー重いけど持ってきてよかった

約4時間の停滞で、安全マージンをだいぶ溶かしてしまった14時過ぎ、県の管理とか、町の管理とか、いろいろあるようで、休日潰されたサイクリングにまったく興味のなさそうな町の職員たちが、なんかなあなあで交通規制解除、おまたせしましたとか、気をつけてねとか、気遣いはまったくない。ま、そんなこと彼らの問題であって俺の問題なはないねと気を取り直しヒルクライム開始

第1ステージ1時間弱。悪くない。暇つぶしに過去記録をググっておいて2時間を目標タイムにした。その後はダウンヒルで100mほど高度を落とし第二ステージ開始。500m程登ればゴール。俺のヒルクライム単位系で、1ヤビツ弱。ま、楽勝。快調に登っていると体調が急変、胃が痛え。水分の過剰摂取による症状だ。やっべ。うぅ。

途中休み休みなんとか登りきったが、予定が大幅に遅れ16:30過ぎにゴールの土小屋へ、モンベル経営のおしゃれカフェで軽く食事したかったのだが、そんな元気もなくフラフラでコーラを飲みながら状況評価開始。残り55キロ。600mほど登りがあるので通常で4時間。予想到着時刻20:30。日没は18:30過ぎ。やばい。少なくとも林道は明るいうちにこなしておきたいと。UFOライン入口まで27キロ、ギリだ

倉敷行きの終電には間に合わないことが確実化した。ここで一人敗退を決意した。旅の継続はあきらめ、可及的速やかに安全な休息場所を確保し、清潔な服に着替えゆっくり休養を取り回復を目指すことが第1優先とフェーズが変わった。時計は外してポケットに入れた。あとは日没までとその後の暗闇という自然との戦いだ

UFOラインスタート16:43。26とペイントがあり走っていくうちにこれが入口までの距離と気付いた。瓶ガ森までは登り基調。気持ちは焦るが体力温存のため無理せず押し登る。途中、夕暮れの瀬戸内海と松山の街が見える。綺麗だ

UFOラインは1.5車線の林道で若干危ないが、この時間だから車の往来はなくてある意味快適。でも写真で見たような景色は走っていると見えないな。後で確認したら伊予富士という小ピークからの景色が良くパンフレットとかに採用される天空の道の構図。UFOラインは植生が変わって熊笹中心で景色はサイコー。まぁ、でもこれなら信州の霧ヶ峰あたりと変わんないねという身も蓋もないことを思ったりもした

18:38最後の撮影。UFOラインはまだ6キロ残る。ほぼ真っ暗。唯一の光源である月齢6日の三日月の明かりはほぼ役に立たない。衝突防止灯くらいにしか考えてなかったハンドルマウントのGENTOS貧弱LEDライトの心細い明かりのみが頼り

グレーチングやら落石やら路面状態は悪くローディ殺し。動物が鳴く、道路を横切るたびに俺はありったけの声で吼える。ごめんね、お休み中のところ

真っ暗になると気持ちが焦る。登り返しは華麗にダンシングで攻略。どこにこんなパワーが残ってたんだ?

寒風山隧道を抜け、国道までの山道を下る。道路脇の木々が生い茂り道幅を狭くし、落石やら落ち葉やら路面状況は悪く整備されておらずこれ廃道?まさかの途中でゲート封鎖?と非常に心細くなったが、朝の娘さんはたしかに路面状態最悪って言っていたなぁ。ということは少なくとも抜けられるはず。勇気を出して声掛け、雑談って大切だなぁとしみじみと思った

途中、濡れた路面の隠し溝にハマり、リアがサイドスリップ、あわや落車と思われたがなんとか体制を立て直せた。よく考えたら俺はバイクコントロール得意かも。MTBer上がりで良かったぜ。落車は、禁断の相州犬越路林道の急カーブで突然出てきたアイスバーンに乗っかってしこたまコケたくらいだ

暗闇の中、沢の音が聞こえる。視覚情報は得られないがよくある沢沿いの山道のパターンだな。焦るけどゆっくり慎重に下り続ける

とうとうポツリと街灯を見つけた国道194号だ!ポケットから時計を取り出し時刻を確認すると19:34。やったぁ。無事生還。街まで16キロあるが、1時間もあれば街にたどり着くだろう。街で美味しいラーメンをお腹いっぱい食べよう

D3 帰還

こういうこともあろうかと事前に調べておいた西城アーバンホテル9Fの展望風呂からの石槌山系の眺めはサイコー。あんなところを通ってきたんだなぁと振り返りながら俺様専用の気持ち良い朝風呂。正直、道後温泉より全然いいわ

爽やかな秋風の吹く伊予西条駅で、18きっぷを提示。有人改札しかないこの駅の駅員さんは、「お気をつけて」と声をかけてくれた。06:48当駅始発の高松行きに乗り込み発車を待った。9時間を越える長旅にはなるが、いままで何百回もジェットプレインの三等硬座で旅をしてきた俺には割となんでもない。この先にはまだまだ未知の景色が広がっているはずだ

輪行でUFOラインへのベストアプローチ

ほぼネットに情報がなかったのでご参考までにまとめておこう。今回のJR松山駅→黒森峠→石鎚山スカイライン→UFOライン→JR伊予西条は十分に現実的なルートだ。「たられば」だが、4時間の停滞さえなければ、遅くとも16~17時には帰着できていたはずだ

ここにくる一番の楽しみ目的はUFOラインの絶景だ。これを十分に楽しむためにはJR伊予西条駅発着で寒風山経由でUFOライン終点の土小屋テラス往復ルートがおすすめだ(111.2km ±3,543m)。

ピストンルートは避けたいという気持ちはあるけど、往復で絶景を楽しめるし、UFOライン以外は特筆すべき眺望はなく、最大限に楽しむにはこのルートが一番だとおもう

石鎚山スカイライン、黒森峠、それぞれ悪くはないが眺望を得られるわけでもなく、わざわざ遠征して攻略する価値は正直低いな

しまなみ海道を楽しんだ後は、JR伊予西条まで輪行して駅前の西条アーバンホテルがおすすめ、展望風呂があること、通りから見えにくい場所に地球ロック可能であること、駐輪場に防犯カメラがある面でも安心。ま、駅前は閑散としていてあまり人通りはないけどね

では、ご安全に

今回の計画ルート

今回のルート(計画+実走部分は補正済み)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?