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【2024年9月15日】服を総入れ替え

 退院してからは、自宅にいる時はTシャツ短パン。外出する時はジャージ。いつでもとにかく楽な格好でいるようになった。
 身体に麻痺が残っているので、シャツのボタンを閉めたりズボンのベルトを締めたりするのも時間がかかるので、面倒臭くなってやらなくなってしまった。ちゃんとした用事の時は時間をかけてちゃんとした格好をするが、それは月に数回だけ。
 普段は基本的にジャージで、自宅から近所に買物に行くくらいなら部屋着のTシャツ短パンのままか、ちょっと肌寒ければそれにカーディガンを羽織ったくらいの格好で行く。

 そんな楽な格好で買物に行ったある日。一応、買いたい物の目的はあるのだが、目的だけに直行しないでぶらぶらと歩いてた。
 いつもは気にしていなかったのだが、不意に、大きなガラス窓に映った自分の全身が見えた。

 色褪せて伸びたダルンダルンの部屋着。
 杖を持っていて、どううにかこうにか歩いている。
 まるで、入院中に散歩して日向ぼっこしているジジイ。

 僕は愕然とした。これが今の僕の姿なのか。
 なんだこいつは。なんだこのジジイは。このジジイは誰だ?僕は誰だ?
 全身の血の気が引いて身震いした。最低限の買物だけ手早く済ませて逃げるように帰宅した。

 こんな格好をしてたらダメだ。普段からちゃんとした格好をしよう。身体が動きづらいからこそ、ちゃんとした格好をすべきだ。
 とは言っても難しいところはある。だから、無理しない範囲で、出来るだけちゃんとした格好をするように心掛けよう。

 そう思い立ったのが、今年の春。
 それからジャージやTシャツ短パンで外出するのをやめて、ちゃんと綺麗な服に着替えて外出するようにした。

 まずは、しばらく開けてもいなかった外出着のクローゼットを開けて、持っている服をあらためて確認する。入院してから全く着てないから、丸2年以上は着てない。身体がバリバリ動いて色んなことをやっていた頃に着ていた服ばかり。
 クローゼットの中を見ながら「あの時に買った服だー」とか「あそこに行く時に着ていた服だー」とか思い出に浸り、そして思い出を振り払って、これからも着れる服だけを選別。
 そして、外出する度にちょこちょこと服を見て周り、手頃な値段で気に入った服があったら買う。シャツ、ズボン、Tシャツ、パンツ、靴下、など普段から着る服を全て新しく買った。

 そして先日、以前の服は全て捨てた。
 服を総入れ替え。半年かけてようやく完了。

 何だかんだで総額5万円くらい。
 外出着も部屋着もほぼ全て新しい服に買い替えたが、着れる服がないから新しい服を買ったわけではない。わざわざ買い替えなくてもいい服を何万円もかけて買い替えた。今は収入が減ってるので、ハッキリ言って、ものすごい高額の無駄遣いかもしれない。

 でも、気持ちは晴れやかだ。
 新しい服を着ていると、自分自身が新しくなったような気持ちになれる。服が変わると気持ちも変わる。外見が変わると内面も変わる。
 毎日とても良い気持ちで過ごせる。
 これは無駄遣いなんかじゃない。新しい服に総入れ替えして本当に良かった。

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