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「下書き」フォルダを開けてみた

保存容量が不足しています。空き容量を確保するか追加容量を購入しないと、まもなくメールの送受信ができなくなります。保存容量の変更が反映されるまでに、最長で 24 時間かかることがあります。

と、メインで使用しているgmailのボックスに警告が表示された。

容量を確認してみると 17.0GB / 17.0GB  ・・・めっちゃパンパン。
マジか。知らない間にそんなに大量のメールが・・・ってか17GBってメール何通分よ!?

って思ったがよくよく考えるとGoogleDriveなどの容量と共有だったのね。
確かに過去数年間、いろいろ仕事なり趣味なりでやりとりしてきたファイルの整理をほとんどしていなかった。

とりあえず容量の大きいファイルを消せばひとまず解決するよね、と思ってGoogleDriveを整理しにかかる。
大昔のライブ映像だの、友達の結婚式の余興動画だの、完全に消去しようとは思わないけど、ネットのストレージに上げておく理由ももうないだろうみたいなやつをローカルに落として、GoogleDrive上からは削除する。

大きな整理をするタイミングではないと思うので一旦これだけ。
それでも1GB強のデータが容量が確保できた。
うん、これでまた当分は大丈夫。

さてそれにしても、よくもまぁこんな昔のファイルまで入ってたもんだ。
GoogleDriveに入っている一番古いファイルをみたら「2013年」。
ちょうど転職活動中の、履歴書と職務経歴書の下書きだった。

そういやここしばらく転職とかしてなかったから、こう言うお堅い書類をみるのも久しぶりだなぁと眺める。大掃除中に思わぬところから出てきた懐かしい写真や漫画をつい見ちゃう、アレみたいなやつだ。

時間泥棒たちがウォームアップを始めるのを感じた。
慌てて閉じる。解散。

さてメール容量は・・・
よしよし。ちゃんと15.9GB / 17.0GB となっている。
これなら「容量オーバーでメールが受け取れませんでした」みたいな話はないだろう。誰かがギガオーバーな添付ファイルを送ってこない限りは。

容量表示の上。
各フォルダが並ぶところに何気なく目がいった時。

ふと目に入った「下書き」の文字。

そう、メールの方の下書きフォルダ、である。

41通。そんなにあるのか。

Gmailの仕様として、書いている途中で送らなかったメールは、自分で破棄しない場合は自動で下書きフォルダに入る。
自分で残そうと思わなくても、メールを発信するか、破棄するかをしない場合はここに溜まっていく。

とはいっても41通・・・そんなあるのか?
一度解散した時間泥棒組織が再びウォームアップを開始した。
が、やむを得まい。気になった以上は、興味本位で開けていく。

こっちも2012年・・・結構昔から溜まっている。
おおよそ7割ぐらいは(件名なし)とかかれ、自分の署名だけが書かれている。
おそらくはメールを送ろうと思ってサクッとやめたか、忘れたか。
あるいはつい間違って新規メール画面を開いたものの、ものぐさがってそのまま画面を消したものもあるだろう。そういう物は宛先すらない。

そしてたまに内容が書かれているものがある。

先に言ってしまうが、ここで劇的に面白くて撮れ高満載のメールが見つかれば非常にありがたかった。
が、残念ながらそこまでドラマチックなものは見つからなかった。

しかし読んでいる本人にとっては一つ一つ開けるごとにじわじわとボディブロウのようにスタミナを減らすものばかりだったので、ここにその一部を書き留めさせていただこう。



・当時「なんだっけこの曲」と思ってとっさに調べてコピペした歌詞のみが書かれた、メモがわりに使用したと思われるメール(未送信)
確かにこう言う使い方を結構していた。他にもメモっぽいものは多い。


・友人の会社を一時的に手伝うこととなった時の報酬交渉を書いたものと思われるが、実際に確定した報酬よりもやや高いものを提示していたメール。(未送信)
しかもその金額の下に「※ただし、」とまで書かれているがそれ以降続きが書かれていない。当時の僕は何を条件にしようとしたんだ。気になる。


・ネットショップ詐欺にあってデジカメを買ったが品物が届かず、店に対して数回問い合わせメールを送ったものの返事が来ず、かなりの激しい口調で送ろうとした追加の問い合わせメール(未送信)
多分送る前に別のところから連絡があったのでやめたんだっけかな・・・怒りに任せて苦情を書いた自分を客観的に見た時の辛さたるや。ちなみに結局は逃げられ泣き寝入りを食らった悲しい思い出。


・友達の彼女の評判が別方面の仲間内でめちゃ悪くなってきたので、その友達にそれとなくその話を伝えるためにものすごく湾曲的に傷つけないように配慮しながら書かれた長文メール(未送信)
これ送んなかったのか・・・最終的にどう伝えたかわからないけど少なくともその友達はすでにその彼女とは別れている。


・当時すごく仲の良かった友達だったが、ふとしたことで疎遠になり、やりとりを一切しなくなってからの、その友達の宛先だけ入って本文なしのメール(未送信)
あかんじわじわ辛くなるやつやこれ・・・


興味本位で開いたものの、結論としては
見つけて楽しい!と言うものよりは切ない思い出を呼び起こすことの方が圧倒的に多かった。

意図的に送信をやめたもの、その理由は当時の自分には色々あったんだろうが、流石にもうほとんど覚えていない。
自分でわからないのであれば、他人にも流石にわかるまい。迷宮入りだ。
ただ、そこには確かに葛藤があり、結論として送られなかったと言う事実だけが残っている。

「今このまま送信ボタンを押せば、宛先のあるものは瞬時に送られる」
一瞬・・・そのことに気づいたら背筋が凍る思いがした。ここでのミスタッチはより哀しみを増幅させることだろう。
爆弾処理のごとくゆっくりと、戻るボタンを避け、破棄ボタンを選ぶ。

残しとけばこの先5年10年後に、同じ過ちと同じ切なさを感じることになるだろう。これは供養だ。


他のメールも同じ仕組みかはわからないが、
少なくともGmailを長年使っている方がいたら、一度ご自身の下書きフォルダを覗いてみるといいかもしれない。

僕の場合は哀しみがほとんどという結果だったが、他の人のケースなら、もしかしたら何か探し求めてた記憶にたどり着けるかもしれない。その悦びを得られる可能性は少しだけ感じた。

もしそう言った悦びが得られなくても、行き場を失った自分の切ない思い出を供養することですこしスッキリした気持ちにはなれた気がする。


下書きフォルダ。

アンニュイな気分になりたい時はとてもおすすめな
そしてとても身近にあるパンドラの箱である。

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