見出し画像

言葉が生まれる時
話しても話ても話し足りない言葉があり
湧き出す光を手で汲み取り
トントンと寝ている人を起こし
小さなぬいぐるみで肩を撫で
ひとりよりふたりがいいと思い
手のひらを合わせて
そうしてずっと このままだといいと

言葉が生まれない時
話は途切れその先にあるものが重くのしかかる
いつ殺されるか 恐怖が時間を支配し
人間の柔らかい皮膚はいともかんたんに破かれ
明日が来ないことを知り
子どもは泣くが誰も振り返らず
見捨てられた誰にも聞こえない絶叫が
干からびた手のひらから
このまま 誰にも知られず 言葉を発することなく 

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します