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詩)ぼくらは金色でも赤色でもないのだから

女には色がある
特別な色  私だけの色  
林檎が
灯り一つ無い
漆黒の闇の中で
ただひとつ
揺れながら光る
一度だけ金色になり
肌は露わになり

男には色が無い
色の無い男が
郵便ポストの横に立つ
赤いポストの隣で
存在しないように立つ
闇の中で
色の無い男は
闇に紛れたポストを見る
昔ながらの円筒のポスト
ザラりとしたポストを
男は撫で
その矢なわれた色を想う

さすらおう 
ぼくらは金色でも赤色でないのだから

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します