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詩)希望と書かれた札RYOHEI選手

希望と書かれた札を
何気なく押すと
それは 人と人のあいだに
すうっと入ってくるものだった

RYOHEI選手(實松亮平君)はロッテマリンズの選手だ。12歳。背番号100。RYOHEI選手は国の指定難病で長期療養を必要とする中学1年生。今年4月に入団。球団公式サイトの選手名鑑でも背番号「100」で紹介されている。

試合前の練習では、投手練習の補佐やノックのボール渡し、バントのボール片付けなども行う。実際に試合に出る選手たちの中で、選手として動く。僕がここにいることをみんなはどう思うのだろう。ここは誰かが上がれば誰かが弾かれる戦場みたいなものだ。僕は選手として、少しでも何かになりくて必死だった。

僕に登板の機会が来た
RYOHEI選手は9月24日、いよいよ始球式のマウンドに立つことになった。
この日のために黒木一軍ピッチングコーチがフォームを直してくれた。ノーバウンドでストライクを投げる。目標が出来た。

いよいよ始球式の日がやってきた。めちゃくちゃ緊張した。「思うように練習ができていないので不安でもあるけど、サイコーに楽しみたい。自分が強い気持ちを持って、ノーバン目指して頑張ります」とコメントした。

RYOHEI選手はZOZOマリンのマウンドに立った。背番号100の右腕はリリーフカーで登場。
堂々構え振りかぶって投げた。ボールはワンバウンドで佐藤都志也捕手のミットに収まった。投球を終えたRYOHEI選手はその場に一礼。吉井監督もベンチから拍手を送った。

12月19日、RYOHEI選手の修了式の日が来た。満員の会場に向かってRYOHEI選手は緊張感がありながらも、堂々とあいさつ。共に戦って来た佐々木朗希選手が花束を渡し、その身体を抱きしめた。同じ目線で同じ選手として活動した一年。RYOHEI選手がマリンズの選手たちに自分の役割を自覚させた意味は大きい。

社会とスポーツ。たった一球の始球式に込められた思い。ユニホームを着ること。長期療養の自立支援にスポーツが出来ること。スポーツが目指すこと。こどもたちの前に何があるのか。今の時代。戦争の中で死んでいくこども。社会。その在り方を考えること。生きるということ。

問いかける時 浮かんでくる言葉

希望と書かれた札を
何気なく押すと
それは 人と人のあいだに
すうっと入ってくるものだった
どんな子どもにも
どこで生まれた子どもにも
その問いかけがあって

希望がある
その扉を 
開くことができるように
いま 問いかけられているのは
僕ら。

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