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詩)貴方の自由


ひとつの部屋に二人の人間を入れるだけで映画が始まる

タゴール(映画監督)

無菌室に二人の日本人を入れる 「自分らしく生きる」という看板がかかっている

マスクは二重構造だ 顔のある部分が変化したマスク あとひとつは脳内部の化学変化

さて 無菌室ではマスクは必要ない 自由に誰にも邪魔されずお話しください

二人はマスクをしたままお互いを見る これまでもそうだったし これからもそうだろうし

擬似現実にいるのだ わたしたちは
変化する風景の内部にいながら風景に影響されている奇妙なシステム

視覚が非現実的なのだろうか 光景が非現実的なのだろうか 何の為のマスクなのだろうか
必須条件なのか 必要条件なのか 

顔を突き合わすのがうまくいかない もうマスクのない会話が出来ない 

さて 無菌室の二人 あれからどうしているだろう 貴方の想像では 二人は脳内伝達物質から自由になれただろうか

書くことは自由だから 僕は今マスクをしていない だがほんとうは不自由。使い分け。

さて
無菌室にいる想像の中での経験としての貴方の自由
それは
ほんとうは
縛られて
もうとっくに
死んでいないか?

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げん(高細玄一)文学フリマ東京39 な-20
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