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笑う鯨のtシャツを着た少女が
僕をじっとみているので
僕はと言うと 破れたジーンズと
眼をつぶったドラえもんのtシャツで
プラカードの方を見ている
「廃案一択」の文字が浮き上がる

泣きたい時 泣けばいいじゃないか
そういうけれど 涙も出ないくらい
ひとはなんのために生きるんだろう
差別するものが 世界を握り
こんがらがった世界を嘘の説明書で解説し
なんのためらいもなく 正義を踏み躙る

酔っ払いが医師だというだけで 風上に置かれ
出世のためにヘイトを利用するものがしがみつくものは 嘘で固めた信条書
純潔な日本人 ありもしない幻想がウロウロし
今日の夜のことしか頭にない そんな者たちが背広を着たまま 寝言でインチキ国家論を語る時

インチキはインチキを重ねるだろう
さらにそのインチキの上にインチキを重ねるインチキ男は インチキ屋敷の主を気取る目つきの悪いただのおっさん それなのに主人公気取り 誰か教えてやってくれ おまえはもう終わってる

少女の胸の鯨は 
真っ白なtシャツの海に 汐を吹いた 
ああいいなあ なにものにも縛られていないって にっこり。笑う鯨。

「廃案一択」
ここに集まったひとの心に宿った想いが 
今日 明日実らなくても 
尖ったナイフはそのまま 
一本ずつ研ぎ澄まされいく
生きることに差別を持ち込ませないために
笑う鯨へ近づくために

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します