[すこし詩的なものとして]0057 人はとは
うすら寒い
霧時雨
傘にうちになんとも言えない
かなしい気持ちがおそってくる
何がかなしいのか
あまりに曖昧で
あまりに滑稽
前を歩く人たち
傘のうちに灯りがともる
ああ
そうかそうなんだ
羨望なのだ
羨望がかなしくさせるのだ
あの灯りがほしいのだ
腕に溜まる
水のつぶ
さっとひと振り払いのける
空はほの暗く
さざなむ雨音が虚しい
ビルの合間を歩く
風がほほを切りつける
こんな世界が本当なのだろうか
これは誰の物語なんだろう
かなしみの根源
そこには惰性
そこには