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金融機関職員に必要なデジタルアセットの基礎知識

 デジタルアセットは資産として価値が注目を集める一方で、根拠法や性質などがまだ浸透しているとはいいがたい。金融機関職員においても適切なリスク管理のため基本的な知識を身に付けることが求められる。本稿ではデジタルアセットの種類から税金や相続等の資産としての取扱いについて解説した。
                                        株式会社クニエ シニアマネージャー 並木 智之

1 デジタルアセットの定義

(1) 広義と狭義としての違い


 広義のデジタルアセットは、「資産として価値を有するデジタル形式のデータ」という意味で使われているが、狭義としては、「ブロックチェーン関連技術を活用して発行・管理されるデジタル資産」という意味で使われている。本稿ではデジタルアセットを狭義の意味とする。

(2) デジタルアセットの種類


 デジタルアセットはその性質により、いくつかの種類に分類されている(図表1参照)。また、デジタルアセットの保管責任は、取引所、金融機関、所有者自身などに分かれている(図表2参照)。

図表1 主なデジタルアセットの概要
図表2 デジタルアセットの主な保管方法 

2 デジタルアセットの市場動向


 暗号資産の投機目的の売買及びその決済目的で使われるステーブルコインがデジタルアセット市場の大部分を占めている(図表3参照)。
 デジタルアセット市場は、政府や当局等による規制強化によって、短期的にはネガティブに、長期的にはポジティブに反応する傾向がある。
 現時点におけるセキュリティトークン市場は既存の社債、債券、不動産証券市場に比べて小さいが、大手金融機関などによる活発な動きが見られることから、今後、Web3の発展などに伴い、既存証券のデジタル化が進むと期待されている。

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