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今週の映画とわたし 2020/1/25~2/2

正直どうでもいいと思いますけど、映画の感想を話し合いながら映画館から出てくるカップルを呪わない境地に至るために、わたしの感想はここに吐露しようと思います。なぜ人はデートで映画を観るのだろう。男と映画を観に行って楽しかった試しがないわたしは、やはり感想をここに吐露しようと思います・・・この人生どうすれば?

しかし本当に暇すぎてすげえ量の映画を観た。いくつか省くしかないなー。

1. GOODFELLAS (グッドフェローズ)

言わずと知れたマーティン・スコセッシ先生の名作。アイリッシュマン公開に合わせて、引き合いに出されることの多いこの30年前の名作を観ておかねばと思っていたのですよ。

あるマフィアの回顧録を、自在に時間軸を操りながら描く、巨匠感のある作品。前半は年代記でスロウだが、後半、加速するヘンリー・ヒルの運命に思わず身を乗り出す。

ギャングになりたかったんだ、ギャングって最高だ・・というモノローグから始まり、アイルランド系ながらイタリアン・マフィアに可愛がられ出世していく様子には、何やら問答無用の憧れを抱いてしまう。昔、『極道の妻たち』に憧れた身としては。「姐さん」って渾名で呼ばれるくらいならホンモノの「姐さん」になってみたかったぜ・・・

アイリッシュマンでも活躍するジョー・ペシ、デ・ニーロらの若かりし頃、溌剌さのある演技にもほくほく。アイリッシュマンでの役柄とは対照的にキレまくる制御不能のジョー・ペシに、虎視淡々としたデ・ニーロ。これはアイリッシュマンとセットで観たいよね。いい酒が飲める。

2.大統領の陰謀

これはもう「映画ファンが必ず観るべき映画50」とかに常に入っているレベルの名作。やっと観た。

1976年、ニクソン大統領辞任の2年後にこれが作れるって、すごいよな。しかもオスカー受賞。今から2年後に「桜を見る会」問題の映画が公開されて、日本アカデミー賞とか受賞している図、日本では想像できなくないですか?やっぱり、海外では映画も音楽も文学も、真っ向から権力に対峙して、人々に強く問いかけている。そういう矜持を持って、もの作っている人たちがいる。日本では、例えば最近ではなんとか作れて『新聞記者』なんですよね。あれもいい映画だし野心的だったけど、『大統領の陰謀』は実際の政治汚職を題材に取っているからね。ファンタジーじゃなくて。だから、逃げられないよね。

しかも、ドキュメンタリーじゃなくて映画として作っている以上、製作者たちは映画芸術としても高い水準を追究したはずで、だからこそ映画としてこれだけ評価が高いものが作られたのだと思う。とにかく画が渋い。かっこいい。そしてロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンの演技がまた渋い。かっこいい。作劇も、派手さやドラマティックさを追い求めない、リアルでサスペンスフル、知的な作劇。いやー。名作だ。

ウォーターゲートがどれほどの事件だったか、に思い至るよね。しかし、ニクソンの録音テープでの言葉遣いに当時のお茶の間をショックを受けたというが、当時に比べれば共和党員も共和党支持者もすっかり堕落したのか、公に”pussy”って言う人物が大統領でも平気だなんて。嘆かわしい。心配だ。弾劾裁判と中間選挙。

「桜を見る会」の映画作ろうかな〜。冒頭に名簿廃棄のシーンとか入れようかな〜。クライマックスはバックアップデータ発見かな〜。菅官房長官の役、誰がいいだろう。真剣に悩む。ハハ。

3. ユージュアル・サスペクツ


いや〜〜〜〜〜!!やっぱりケヴィン・スペイシーって怪物ですよね・・・また『セブン』も『L.A.コンフィデンシャル』も観たくなっちゃった。

わたしはケヴィン・スペイシーに戻ってきて欲しいんですけどね・・・そうもいきませんかね・・・・残念だ・・

4.ムーンライト

観そびれていた過去の名作シリーズで、3年前のオスカー受賞作品。このバリー・ジェンキンス監督は2018年の『ビール・ストリートの恋人たち』もとても良かった。人種問題を題材に取りながら、社会派と言うだけではなく、静かで美しい芸術的な画づくりと、抑制された中にも情感溢れる演出・ストーリーテリングが特徴。

観終わって、ムーンライト、と言うタイトルにまたグッとくる。月あかりのもとで、青く輝く、African Americanの肌。詩的で美しい表現だった。

5.ローガン・ラッキー

大好きソダーバーグに、アダム・ドライバー、ダニエル・クレイグ、チャニング・テイタムって。美味しすぎやろ。ソダーバーグと”カントリーロード”とはちょっと意外な取り合わせ。郷愁のかなたに取り残されたまま・・のように見えるウエスト・バージニアで、スロウで、ちょっと間抜けで馬鹿っぽい強盗計画。と思いきや、意外にクレバーな展開、ツイストあり、スッとする伏線回収ありの、上質なエンターテイメントだった。

あとさすがのソダーバーグ、デザインがおしゃれなんだよ。衣装も、田舎っぽさを出しながらもそれぞれのキャラクターにちゃんとカラートーンがあってさ、特にダニエル・クレイグの囚人服とかどれだけおしゃれなのよw、とか。なんだかんだ見飽きない。個人的にソダーバーグは『コンテイジョン』以外、ハズレなし。

全然関係ないけど、NETFLIXで人気の作品、に『コンテイジョン』出てくんのやめろよなwwコロナウイルスヒステリー煽ってどうすんだよw

6.ルディ・レイ・ムーア

さて、ここから最新公開作。

エディ・マーフィ健在wwww

お下劣ネタでスターコメディアンとして駆け上がったルディ・レイ・ムーアの半生、初めての映画製作までを描く。

それが、このお下劣ネタの面白さが日本人にはさっぱりわかんないわけwww なので、前半のコメディショーのシーンはまじで取り残されるけど、とにかくエディ・マーフィのパーカッシブな漫談とライムに「はは〜これがラップの父か〜」なんて感心していると、何やら映画製作まで始めちゃってそこからがグッと面白い。

学園祭のノリで寄せ集めの映画制作チームが必死で一つのものを作り上げていく様子には映画好きなら誰でもきゅんとするはず。これが、blaxploitaionとして、当時のアフリカ系コミュニティ中心に「我が意を得たり!!」とばかりに大喝采で迎えられたっていうのも面白い。

力強くて強烈な作品。強制的に元気出る。まじで。

7.ナイブズ・アウト

鉄の玉座いじりがwww 英語圏ポップカルチャーにおけるGame of Thronesレファレンスはしばらく続きそうねww 観たものだけが含み笑いできるこの感じ、嫌いじゃありません。でもGoTの最終話には納得していません。

さて、まあそんなギャグも絡めながらも、アガサ・クリスティが引き合いに出される超正統派のオリジナル・ミステリー映画。オリジナル脚本でここまで入り組んだ巧妙なミステリーって、原作もの・ヒーローものに席巻される最近の映画界だと多くないよね。素晴らしい出来!

母親の本棚にやたらとアガサ・クリスティがあったので、小学生時代から親しんだ、エルキュール・ポアロやミセス・マープル。その「ナメられがちな探偵」像からは想像も出来ないくらい鮮やかに謎解きをするラストが爽快なわけだけど、本作ではその役回りを、ボンドのクールなイメージが強いダニエル・クレイグが、嬉々として演じている。

資産家の謎の死と、遺産相続をめぐる個性派揃いの家族の諍いを、オールスターキャストの凄みのある演技、練られた会話劇で魅せる。ああ、ふと思ったけど、こういうの三谷幸喜も得意だよね。

きっちり移民と不寛容の問題を皮肉りつつ!軽妙、巧妙、精妙!クレバーで、面白い、良き作品でした。

8.Uncut Gems(アンカット・ダイヤモンド)

アハハハハハハ、ぶっちゃけ不愉快〜〜〜〜ww

アントワープが勃興した中世後期、宝石で成功し財を成したのはユダヤ人商人であって、ユダヤ人宝石商というのは映画『snatch』他にも出てくる、よくあるステレオタイプなわけですけども・・・・このアダム・サンドラー、シェイクスピアの「ユダヤ人商人シャイロック」を凌ぐ強烈キャラである・・・・。

借金取りに追われながらロレックスを質に入れたり出したり急場しのぎで現金を作り、口から出まかせで借金取りを巻き、口が回るままにNBAのスター選手にセールストーク、一発逆転を狙ってスポーツ賭博にかけた金、を密かに借金取りに抑えられたと思ったら、新しいどデカイ宝石を仕入れてオークションで一発逆転を狙うも値段を吊り上げようとして失敗、ようやく買い手を見つけたらまたその金をスポーツ賭博に・・・

というように。

金金金金金ロレックス宝石宝石宝石宝石スポーツ賭博ロレックス乳のでかい愛人・・・切れ間のない罵詈雑言、のしのし歩き回るアダム・サンドラー、を追う終始揺れて落ち着きのないカメラ・・・

ある意味で、その辺のどんなアクション映画も凌ぐ、ジェットコースタームービーだった。

いやあもう、猟犬に狩られる兎か、はたまた兎を狩る猟犬か、金と賭博に駆られるようにして歩き回るこの男・・。拝金主義の奴隷か、賭博中毒の幸せなオッサンか・・・ラストシーンのあっけなさと強烈さよ。

怪演、快作。さすがA24。さすがNETFLIX。こういうの配信がどんどんやってくれて嬉しい。

けどもう二度と観ない!!ww

9.今週のわたし

今週はなんか「強い」映画ばっかりだ。主張、題材、画、役者、全部が強い映画。あと、今週の映画に共通する要素は「皮肉/批判精神」かな。まあ、あまり誇らしく思える性格ではないけれども、わたし自身が皮肉屋の批判屋だから、映画でも文学でも「皮肉」という要素に一番惹かれる。しかもこれらの映画の場合、ただ文句言うんじゃなくて、映画に昇華させて最大の皮肉を送っている姿勢が、やっぱり、表現者の鑑だよなあと思う。アメリカ文化の独立旺盛心というか、言いたいことは自分の力で世に出すぜ!みたいな気概って、いろいろあるけど、やっぱりいいなあと思う。

なんつって仕事が退屈すぎて腐ってる34歳の会社員でした。ちくしょー。明日朝起きたらシャーリーズ・セロンになってないかな〜〜

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