お金の話じゃないじゃんじゃないじゃん2
一番ショックだったのは、わたしが心の奥底から徹底的に、完膚なきまでに軽蔑していた釣りおじさんがマネージャーに昇進した時だった。ここ数年、半期に一度の大きな人事発表は、いつも気が滅入るイベントだった、同期たちがどんどんポストを獲得していくから。でも、今回のは破格だった。彼がマネージャーになることを会社が許したこと、彼に、わたしに支払っているより数百万多く支払うことを会社が決めたこと、に、打ちのめされた。この会社は「仕事ができない従順ないい奴」を選ぶんだ。それとも彼を「仕事ができない」と思っていたのはわたしの独断で、わたしを「仕事ができる」と思っていたのはわたしの勘違いだったのか?わたしは仕事ができない上に人徳のない嫌な奴なのだろうか?だから出世しないのだろうか?
Image : おかざき真里『サプリ』
いや、別に出世したいわけではないんだ。言葉が通じない若い部下とか持ちたくないし、心を砕いて山本五十六風コミュニケーションをとって他人を育てるのとか興味ないし、いつまでも辛辣な遊軍でありたいし、マネージャーなんて管理仕事ばっかで退屈。
っていうのもどこかでほんとうだ。
でも、やっぱりあの釣りおじさんの出世は悲しかった。
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