FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 090:7インチ盤で聴くブルーノート特集
さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第90回(2023年月6月16日(金)20時~
(再放送:6月18日(日)19時~)
清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。
今週は7インチ盤で聴くブルーノート特集です。有名音源ばかりですが、これがやはりLPとは違いまして、結構いい音で鳴ります。バド・パウエルあたりはビックリするくらいにいい音で鳴ります。ただし長さ的な限界がありますから、長尺曲はパート1、パート2にぶった切ってA面B面に収めてありますから、そういう曲は後半部分はないということになります。音圧高めなあたりをお楽しみ頂けましたら幸いです。
そもそも、ジャズを7インチ盤で聴くという文化が日本にあったのかという話ですが、よほどのベテラン・ジャズ愛好家の方でさえ、「7インチ盤では聴いたことないな」とおっしゃいます。それでも、昔はLPは高額だったのでジャズ喫茶に行かないと聴けなかったという記述が多くの書籍に登場するわけで、では自宅では何を聴いていたのかという疑問を以前から持っておりました。また、この番組では始まったばかりの頃に「7インチ盤で聴くジャズ」という特集をしております。もう20か月近く前の話ですから、盤も増えました。またコロナでお店の営業ができない時期がありましたので、ウェブ上で探してみたら結構手に入ったりしたもので、では人気のブルーノートだけでもやっておくかとなりました。構成はあまり能がないようで申し訳ありませんが、録音年代順で聴いていってみようかなと思います。
1曲目
「Senor Blues」Horace Silver Quintet (1956.11.10)
ホレス・シルヴァー・クインテットのアルバム「シックス・ピーシズ・オブ・シルヴァー」のB面1曲目です。トレンチコートを着て公園のベンチに座って何か読んでいるジャケットの盤ですね。Bluenote1539です。実はホレス・シルヴァーに関しては、「7インチ盤で聴くジャズ」の回で、スティーリー・ダンの「リキの電話番号」とイントロのフレーズがそっくりな「ソング・フォー・マイ・ファザー」をかけてしまいました。ちなみに赤盤です。
2曲目
「Blue Minor (Part 1)」Sonny Clark (1958.01.05.)
ソニー・クラークの大名盤「クール・ストラッティン」の収録曲です。1958年1月5日録音です。都会の街中を歩く女性の脚のジャケットは有名ですね。ジャズのジャケット・アートの中でも非常に人気のある一枚でしょう。アルバムではA面の後半、10分以上ある曲ですが、ここではパート1として5分半になっております。一番いいところで終わるような気もします。赤盤です。
3曲目
「Autumn Leaves」Cannonball Adderley’s Five Stars f/ Miles Davis (1958.03.09.)
マイルス・デイヴィスをフィーチャーした「サムシン・エルス」、1958年3月9日録音、名曲「枯葉」をシャンソンの世界からジャズの世界に持ってきたなどと言われる盤です。アルト・サックスのキャノンボール・アダレイ、トランペットのマイルス・デイヴィス、ハンク・ジョーンズのピアノにサム・ジョーンズのベース、アート・ブレイキーのドラムスという布陣です。
4曲目
「Moanin’ (Part 1)」Art Blakey & The Jazz Messengers (1958.10.30.)
アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズです。すべてのモダン・ジャズの中でも異例の大ヒットとなった「モーニン」ですが、アート・ブレイキーは大の親日家でもあります。4回結婚されてますけど、ウチお一人は日本人の奥様でした。息子さんたくさんいらっしゃるようですけど、タロウさんという方もいらっしゃいます。アルバムはブルーノートの4000番台も初めの方4003番でした。これも長い曲ですからパート1です。そして赤盤です。
5曲目
「Cleopatra’s Dream」Bud Powell (1958.12.29.)
6曲目
「The Scene Changes」Bud Powell (1958.12.29.)
今回最もご紹介したかった音源がこれです。日本のジャズ喫茶で大人気だったという形容がついてしまうほどに、日本では評価が高かったアルバム「ザ・シーン・チェンジズ」ですが、1958年12月29日録音で、発売は1959年に入ってからになります。ブルーノート4009番、「ザ・シーン・チェンジズ」というタイトルのわきには「ジ・アメイジング・バド・パウエル」と書かれております。1951年と53年にリリースされた「ジ・アメイジング・バド・パウエル」のヴォリューム1とヴォリューム2という大名盤がありまして、海外ではこの古い音源の方が圧倒的に評価が高いんです。でも日本ではこちらということで、7インチ盤のベスト・ヒット・シリーズでも「ザ・シーン・チェンジズ」の方が取り上げられているわけです。
「ザ・シーン・チェンジズ」を録音したあと、バドはフランスに渡ってしまうので、ブルーノートでのリーダー作はこれが最後になります。1966年7月31日に41歳で亡くなってしまいますから、この時点でまだ34歳とかその辺ですけど、晩年と言うべきなのでしょうか。ブルーノートに限って言えば最後の輝きとなってしまいますが、フレージングはもう天才以外の何物でもなくて、初期の輝きがないとか言われても、この人は別格です。大名盤だと思います。実は今回のこの企画、ジンジャー・ドット・トーキョーの常連さんのお一人、Jinta Booksのオーナーさんからのリクエストなんです。この辺の音源を一緒に聴いていたときに、まあバド・パウエルの音質がアルバムより全然いいのではというご指摘を受けまして、「これはラジオで特集をやるべきですよ」というご要望をいただいていたんです。確かに随分いい音で鳴ります。これも赤盤です。
7曲目
「Sister Sadie」Horace Silver Quintet (1959.02.01.)
8曲目
「Blowin’ The Blues Away」Horace Silver Quintet (1959.02.01.)
今回冒頭でかけましたホレス・シルヴァーの再度登場です。大好きなピアニストです。曲によっては猛烈にドライヴィングしているピアノを聴かせます。アグレッシヴな演奏の方が魅力的かと思いますが、1959年の「ブロウイン・ザ・ブルース・アウェイ」というアルバム、ブルーノートの4017番ですが、これも本当に大名盤です。ここからは2曲ご紹介しました。この手元にある7インチ盤のスリーブでは1959年2月録音となっておりますが、実際は8月録音だと思います。
9曲目
「The Sidewinder」Lee Morgan (1963.12.21.)
ラストの曲です。ポピュラー・ミュージックのチャートでもヒットしておりますので、アメリカでも64年に7インチ・シングルがリリースされております。日本ではジャズ喫茶でもリクエストが憚られるほどしょっちゅうかかっていたなどと言われる曲です。1963年12月録音、ブルーノートの4157番、リー・モーガンの「ザ・サイドワインダー」のタイトル・チューンのパート1です。
次回はギタリストのJ.J. ケイル特集です。お楽しみに。
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