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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 079:バジー・フェイトン特集

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第79回(2023年3月31日(金)20時~
(再放送:4月2日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週はギタリストのバジー・フェイトン特集です。職人的な裏方志向のギタリストです。フュージョン系と思われがちですが、ブルースやらR&B系といった方が彼の本質かと思います。とにかく、もの凄いメンツをバックアップしてきました。アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、スティーヴィー・ワンダー、チャカ・カーン、ベット・ミドラー、ジェームス・テイラー、グレッグ・オールマン、ボブ・ディラン、ブレッカー・ブラザーズ、デヴィッド・サンボーン、マイケル・フランクス、オリビア・ニュートン=ジョンなどなど、錚々たるミュージシャンのバックでギターを弾いております。

経歴ですが、1948年11月4日生まれの74歳、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドがスタートで次が後記ラスカルズです。同僚にデヴィッド・サンボーンがおりまして、フュージョン系のセッションに多く引っ張られます。ブルースやらR&Bやらフュージョン系やらマルチなギタリストとして活躍しますが、多くの音源は仲のよいキーボーダーのニール・ラーセンがらみです。後にはチューニング・システムやらギター・ビルダーとしての活動に多くの時間を割くようになって行く面白い人です。

1曲目
「The Heavy Scuffles On」Full Moon (1972)
2曲目
「Midnight Pass」Full Moon (1972)

1972年のフル・ムーンというバンドでの演奏です。ニール・ラーセンもおりますから、ラーセン・フェイトン・バンドのプロトタイプみたいなものですが、音楽性は微妙に異なります。72年ということで、フュージョンの極初期の一枚としてコレクターズ・アイテムにもなっている盤です。

3曲目
「Dreidel」Don McLean (1972)

前年に「アメリカン・パイ」の特大ヒットを飛ばしたドン・マクリーンのサード・アルバムで全面的にフィーチャーされております。この盤の主要メンバーは、バジー・フェイトン、ニール・ラーセンに加えてトニー・レヴィンのベースとクリス・パーカーのドラムスです。他にはウォーレン・バーンハートやらラルフ・マクドナルドといったフュージョン系の錚々たるメンツが揃っております。トニー・レヴィンは後にキング・クリムゾンに加入したりピーター・ゲイブリエルのバックについたり、ちょいと面白いキャリアを歩む人ですが、70年代はバリバリフュージョン系のベーシストです。ここでは、まだバターフィールド・ブルース・バンドの名残も感じられるような演奏が聴けます。

4曲目
「Superwoman」Stevie Wonder (1972)

1972年頃からは、スティーヴィー・ワンダーのバックアップもはじまります。まず、1972年の「ミュージック・オブ・マイ・マインド」というアルバムで一躍業界内の注目を集めるギターを披露します。「スーパーウーマン」という曲で、アルバム・ヴァージョンは8分ありますが、これスティーヴィー・ワンダーのマルチ・トラックにバジー・フェイトンのギターを被せるんですが、なんとファースト・テイクなんです。一発どり。これで凄いギタリストがいると騒ぎにになりました。翌年の「トーキング・ブック」ではジェフ・ベックがリードのバジーがサイドという曲もあったりします。「キー・オブ・ライフ」あたりまで、スティーヴィー・ワンダーのバックアップをやることになります。

5曲目
「Windsong」Neil Larsen (1978)

6曲目
「Chuck E.’s In Love」Rickie Lee Jones (1979)

この人はドラッグ禍で活動が安定しないという残念な面もあるのですが、1970年代後半からの大フュージョン・ブームの頃には大活躍することになります。ご本人はブルース・R&B系のギタリストであるという自負があるようで、フュージョン系ととられることにご不満だそうです。それでもいい演奏のレコードをいろいろ残してくれております。フュージョン系の好きなあたりを2曲ご紹介しました。

7曲目
「Sign On The Window」Jennifer Warnes (1979)

ここで一曲、個人的に気になる曲がありましてご紹介しました。女性シンガー・ソングライターのジェニファー・ウォーンズの79年のアルバム「ショット・スルー・ザ・ハート」では、ボブ・ディランの「サイン・オン・ザ・ウィンドウ」をカヴァーしております。ジェニファー・ウォーンズはレナード・コーエンのバックでやっていた人ですが、1982年の映画「愛と青春の旅立ち」のサントラでジョー・コッカ―とのデュエットで大ヒットした「アップホエア・ウィ・ビロング」や、87年の「ダーティ・ダンシング」の「タイム・オブ・マイ・ライフ」といったナンバー・ワン・ヒットが何曲もあります。このカヴァー曲は1970年のボブ・ディランの「ニュー・モーニング」に収録されていた曲でして、この盤でもバジー・フェイトンがギターを弾いているんです。オリジナルで弾いていた人間をわざわざアサインして作っているカヴァーなんです。よほど気に入ったのかなというあたりが気になるんです。

8曲目
「Who’ll Be The Fool Tonight」Larsen Feiten Band (1980)

9曲目
「Aztec Legend」Larsen Feiten Band (1980)

レア音源ばかりでもつまらないので、彼の代表的なナンバーをご紹介します。また同じアルバムに収録された、最も好きな曲もご紹介しました。

10曲目
「The Visitor」Full Moon featuring Neil Larsen & Buzz Feiten (1982)

さて、この連中、大フュージョン・ブームのさなかに2年連続で来日します。1981年5月の来日は2度行きまして、厚生年金会館大ホールで5月20日と24日に、両方とも前から5列目で観ておりますね。チケット代はまだ3千円でした。これ、もう本当に素晴らしいライヴでした。翌、82年6月にフル・ムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン名義で再度来日しました。この時は6月3日、中野サンプラザでした。この時もまだ3千円です。もう最高!でした。この回の冒頭のところでご紹介したフル・ムーン名義になったわけですが、アルバムもリリースしてくれました。ラーセン・フェイトン・バンドよりは少しロック寄りの内容になっておりまして、こちら素晴らしい内容でした。この盤からはシングルのB面曲をご紹介しました。

11曲目
「Footloose」Kenny Loggins (1984)

この後、バジー・フェイトンは自分のグループ、ワーリーズも立ち上げますが、もうCD時代になってからのはなしですから、この番組ではかけられません。随分ハードなロックっぽい内容になっていて驚かされました。器用な人ですから、何でもできでしまうようです結構ハードな音源としては、1984年の意外な大ヒット曲で彼の名前を見つけましたので、ご紹介しました。

12曲目
「Carnival」Neil Larsen (1987)

もっともっとかけたい曲がいっぱいありましたが、グレッグ・オールマンとかチャカ・カーンとかのアルバムでもいい演奏を残しておりますから、要チェックです。本日ラストの曲は、マイルス・デイヴィスが80年代に好んで演奏したニール・ラーセンの「カーニヴァル」です。


次回はジョー・ウォルシュ特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp

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