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続・下町音楽夜話 0281「せめて気分だけGo To! West Coast」

東京音楽放送局~Tokyo Music Station~第2回の放送が終了した。中央エフエムの深夜の生放送で音楽愛を語らせていただいている。相方の小松氏は中央エフエムの代表なので、私はゲストなのかと思いきや、彼の物言いだと私もパーソナリティということになるらしい。その辺はよく考えていなかったが、パーソナリティ・デビューの感想や反応を訊かれ、自分の声が気に入らんと長々話しても面白くもないので、適当にごまかしてしまった。やはり自分の声は嫌いだ。

いろいろ面白がってくれるお店の常連さんやらイベントに参加してくださる皆さんからプレゼントやお便りをいただいて嬉しい限りではあるが、こういう場を借りてお店の宣伝をあまりしたくない。それなりに音楽を聴く方しか聴いてないだろうとは思うが、お店の現状は新型コロナ対策で席数を減らしていることもあり、以前のように詰め込むことはしていない。せっかく遊びにきていただいても入れない可能性が高いところで宣伝することは避けたいのだ。

また同じく新型コロナの影響で遠くから通っていたスタッフが辞めてしまったこともあり、自分が目いっぱい勤務せざるを得なくなっており、これ以上忙しくなるようであれば、店を閉じないといけなくなってしまうギリギリまできているのだ。カフェと言いつつ、オヤツタイムのはずの15時から18時はいったん閉店している。この時間に買い出しなどに動き回らないといけなくなっており、猛暑の中走り回っていることで相当体力を奪われていたりもするので、正直なところ宣伝などしている場合ではないのである。自粛明け後に戻ってこない常連さんも多い一方で、毎日満席になる程度にはお客様はいらっしゃるのだ。結果的にギリギリのバランスの上で成り立っているわけで、経営判断として今は刺激したくないのである。

さて、番組のお題はウェストコーストだったのだが、年代の縛りはない。つまりステレオタイプなカリフォルニア・サウンドもあれば、カリフォルニア幻想といわれた後の、悩めるアメリカを体現した連中も対象となる。もっと言えば、シスコ・サウンドもLAメタルもOKならグランジもありということになる。元カリフォルニア州知事が出演していた映画「ターミネーター2」のサントラからガンズ・アンド・ローゼスの曲を選ぶことも考えはしたが、あまり好きな曲ではないのでやめておいた。どうも自分のトークイベントとは違うので、あまり考えすぎない方がよさそうだ。

構成はそれぞれが選んだ曲を交互にかけるというだけだが、小松氏が13曲ほど選んで連絡してくるのでその一曲一曲に返歌を考えるということになる。まあ音楽好きにとって、こんなに楽しい作業はない。スタートはママス・アンド・パパス「夢のカリフォルニア」だったので、ここにスコット・マッケンジー「花のサン・フランシスコ」を返すと地雷ワードみたいなもので、ジョン・フィリップスの話題で終わってしまう。そこは同じステレオタイプでもビーチ・ボーイズにしておいた。「グッド・ヴァイブレーション」は構成が複雑で面白い。ただし、曲の背景は複雑すぎて語り切れない難しさはあった。

次にジョニ・ミッチェル「カリフォルニア」ときたので、難しい方に話をもっていきたくはない。あえてラヴ・ソングで返したいと思い、リンダ・ロンシュタット「またひとりぼっち」とした。ちょいとチルなテイストも深夜の番組だからちょうどよかろう。その後はドゥービー・ブラザーズにはイーグルスを、ボズ・スキャッグスにはスティーヴ・ミラー・バンドを返したが、そこはへそまがり、イーグルスは「トゥー・メニー・ハンズ」、スティーヴ・ミラー・バンドは「ロックン・ミー」と普通では選ばないであろう変化球を続けてみた。もうこの辺からクレジット情報ネタが出てき始め、眠気も吹っ飛んだ。実は今回、スタート時点では眠気との闘いだったのである。

次はデラニー・アンド・ボニー&フレンズ「グルーピー」、つまりカーペンターズがカヴァーした「スーパースター」である。クレジット・オタクにとっては一時間でも語れる曲だがそういう場ではない。これにはバーズの「ワズント・ボーン・トウ・フォロー」で返した。映画「イージ・ライダー」で使われたゴフィン=キング作の曲である。これも語り尽くせない代表のような曲だ。そして次はYouTubeネタということで、ガールズ・バンド、ファニー「エイント・ザット・ペキュリアー」ときたので、これにはニコレット・ラーソン「溢れる愛」を返した。YouTubeでコマンダー・コディの動画にニコレット・ラーソンが出てくることを紹介しつつのカルト・ネタである。

お次はウォー「ロー・ライダー」ときた。文化の多様性を語るアンセムのような曲だ。チーチ&チョンの映画「スモーキング作戦」を引き合いに出してその辺を語り、返歌はロス・ロボス「ラ・バンバ」としておいた。これもイーストL.A.のアンセムだろう。問題は次で「恋のサバイバル」がいただいた資料ではアーティストが空欄になっており、グロリア・ゲイナーかと思い込んだもので、映画「カー・ウォッシュ」のタイトル曲を返したのだが、小松氏が選んだのはCAKEのカヴァーだったのである。思い切りすれ違いを演じてしまった。

番組は終盤となり、小松氏のレッチリ「ダニ・カリフォルニア」に対するはニルヴァーナ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」という、チルでも何でもない曲の応酬で最終コーナーとなり、小松氏のドナルド・フェイゲン「ザ・ナイトフライ」に対してパブロ・クルーズ「フリーライド・サーファー Zero To Sixty In Five」の前半だけで時間切れとあいなった。結局のところ、二人ともカラッと爽やかなカリフォルニア・サウンドなどあまり念頭になかったということか。これを聴いて楽しめた人がどれだけいらっしゃるのか甚だ疑問ではあるが、まあ自分たちが楽しめればそれで問題はなかろう。それにしても、「グッド・ヴァイブレーション」と「スメルズ~」を同じ番組でかけるパーソナリティはいないな…、反省。


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