見出し画像

本日のレコード整理 2020.05.12.ーマドンナのこだわり

マドンナ・ルイーズ・チッコーネさん、マドンナって本名なんですね。お父さんがGMの工業デザイナーをやっていたイタリア系の方ということですから、なるほどという気もすれば「女の子の名前につけるんだ!」という驚きも少々。「マ・ドンナ」と読むとイタリア語では「私の女性」、転じて聖母マリアとなり、さらに転じて憧れの女性みたいになるわけで、寅さんのマドンナもここまでくれば「そうか…」となりますな。

とにかく、あの歌手のマドンナさんです。…筋肉ムキムキのあの方です。特別よく聴いたわけでもありませんが、かと言って毛嫌いするわけでもなし…、凄いなあという程度の距離感です。あそこまでキャラクターを作り込めるのは、努力もしていることでしょうし、恐るべき自制心なんでしょうか。楽器という楽器はぜんぶ演奏できるみたいですし、やっぱり「凄い」という形容になってしまいます。周囲には好きな人間がいたということと、1980年代の音楽を語るときに外せないという事実は厳然とありますけどね。

コロナのせいで休業していますが、カフェの名物のようになっているイベントがありました。年を決めてその年の年表やニュース映像、ビルボードの年間Top100の資料などを眺めながらヒット曲を35曲ほどお聞かせするもので、1回3時間、月に1・2回、1969年から1989年までを繰り返し、何年も続けていたんです。そのせいもあって、ヒット曲全般を浅く広く勉強してはいるんです。やはり自分が好きな曲を中心にかけますから、売れた曲だけというわけでもありません。それでも歴史を語る上で外せない重要曲、時代を象徴する曲というものがあります。1984年から1987年のマドンナは外せませんよね。

画像5

1984年のセカンド・アルバム「ライク・ア・ヴァージン」とタイトル・チューンの大ヒット、「マテリアル・ガール」の連続ヒットで人生は変わってしまったことでしょう。自分はダンスを踊らないので、マイケル・ジャクソンもマドンナも、社会現象のような捉え方になってしまうんですけどね。とにかく凄い売れ方でした。

「ヴィジョン・クエスト」という映画のサントラ盤から「クレイジー・フォー・ユー」というナンバー・ワン・ヒットも出てしまいますし、続けて「エンジェル」やら「ドレス・ユー・アップ」やら、セカンド・アルバムから5曲もヒットしてしまいます。続くサード・アルバム「トゥルー・ブルー」からも、「パパ・ドント・プリーチ」や「ラ・イスラ・ボニータ」など、やはり5曲のヒット曲が出ます。アメリカにおけるヒスパニック系の人口増加あたりも視野に入れていたんですかね。凄い人です。

画像1

日本においては85年のプラザ合意後のバブル突入とタイミングがあってしまいますから、ダンス・ミュージックは売れますわな。オネエ様たち、皆さん踊ってました。まあ華やかなボン・ジョヴィやら様式美化したメタル・バラードなどと一緒に、MTVを席捲していました。ただ、自分としてはアナログで聴きたいアーティストかという部分で、直ぐには手を出さなかった人でもあります。当時の意図的に中低音をカットしたような独特の音質も、アナログ向きとは思えませんでしたからね。

うんと時間が経ってから7インチ盤を集め始めた頃、ふと「マドンナのデビュー当時ってダンスが好きな可愛い声の女の子みたいな売り方だったよなあ」とか「「ホリデイ」とか懐かしいな」などと考えて、ついでに買っておいたりしたのですが、これが今さらに驚かされることになります。まあ、猛烈なお値段になっているわけです。「ライク・ア・ヴァージン」以降は哀しくなるほどの安値なんですが、それ以前の5曲はケタ違いなんです。

画像2

画像3

そういう生臭い話は置いといて、この人のこだわりを感じさせることが一つあります。「シンク・オブ・ミー」という自作曲なんですが、ファースト・アルバムからの5番目のシングル「ボーダーライン」のB面に収録しております。これを、大ブレイク後の1986年の大ヒット曲「パパ・ドント・プリーチ」のB面にも再度収録しているんです。ダンス・ミックスのようなものがB面に入れられることが多い時代に、あえて古いアルバムの曲を再度収録する必要性はおそらく皆無です。ついつい思い入れがあったのかなと思うわけです。そう思いながら聴くと、何だか愛しい曲のように聞こえてしまうんです。

画像4

彼女のことを話題にすると、「マドンナ聴くの?」と言われたりします。少しは聴きますとも…。そもそも悪食なまでに、なんでも聴く人間なんです。相変わらずレッド・ツェッペリンやキャロル・キングも聴きますし、サンハウスやマイルス・デイヴィスやロバート・グラスパーも聴きます。最近毎日聴いているのは、サマンサ・フィッシュ、ラーキン・ポー、アンダース・オズボーン、ゴーゴー・ペンギン、きのこ帝国、ビッフィ・クライロ…あたりです。さあそろそろ店の大きいスピーカーで聴きまくる日々が戻ってきませんかね。まったくもって、待ち遠しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?