子どもは絵と言葉をどうやって結びつけるんだろう

2歳2か月の娘は「あっちゃんあがつく」という絵本が大好き。

「あっちゃん/あがつく/あいすくりーむ」「いっちゃん/いがつく/いちごじゃむ」というふうに「あ」から「ん」まで、食べものの名前が可愛らしいイラストとともに描かれていて、メロディーもついているので歌いながら読むことができる。最近これを毎晩のように歌わされる。50音だけじゃなくてガ行、ザ行などすべての音を網羅しているのでけっこう長くて、ノンストップで歌うと5分くらいかかる。一遍歌って娘が満足いくわけもなく、「もいっかい!」と言われるのでこれを3周くらい歌う。

イラストがとても細かくて細部まで描かれているので、見ていて飽きない。例えば「おっちゃん/おがつく/おにぎりふたつ」ではおにぎりの絵が描かれているが、おにぎりの入ったお弁当箱にミニトマトが入っていて、お弁当箱には蝶がとまっていて、傍に生えているたんぽぽにはてんとう虫もいる。横にはおかずに刺さっていた竹串なども描かれているので、お外でピクニックしているね、てんとう虫が来たんだね、なんのおかず食べたんだろうね、と話題が広がる。歌いながら、そんなイラストについて話しながらもう一体何百回歌ったかしらん、と思っていたが、最近娘自身が歌うようになってきて、それが面白い。

まず、五十音ではない順序で歌う。私はいつもページを繰りながら順序どおりに歌っていたし、そういうふうに歌うとその順序が身体に染み付くような気がする。のに、でたらめな順序で歌うっていうのはどういうことだろう?「○っちゃん/○がつく/○○○」という同じパターンの繰り返しなのに、印象に残るものと残らないものがどうやってできるのだろう、と不思議になる。

次に「おっちゃん/おがつく/すし くいねぇー」などと前半と後半をまぜこぜにしてごっちゃに歌う。これはちょっと分かる気がする。歌の歌詞で一番と二番を混同する感じかな。

次に、ページを開いて「○っちゃん/○がつく」まで歌って、これなあに?と聞いてみた。そうしたら、驚くほどその後の歌詞(食べものの名前)を覚えていた。食べたこともないのに、「たこやき」「つきみそば」「めだまやき」と即答する。更に面白いのが、「へ」は「へるしーさらだ」、「む」は「むぎちゃを/ごっくん」だが、これなあにと聞くと「さらだ」「むぎちゃ」とその名詞だけ答える。「へるしー」や「ごっくん」部分が歌としてのリズムを合わせるために加えられた補助的な言葉だとちゃんと認識しているのかな。そうかと思うと、「ぐ」のページを見せてこれなあにと聞くと「グリンピース/いくつ」と歌詞をそのまま答えてきたりする。これはグリンピースという単語を知らなくて、「ぐりんぴーすいくつ」という名前だと思っているからなのかな。

そのあと、ページを開いて、何も歌わずに、つまり「あ」とか「い」とか音としてのヒントを与えずにこれなあにと聞いてみた。それでも歌詞をよく覚えていた。

たまに、ただ丸暗記しているのではなく考えて発言しているなと思うものもある。たとえば「て」は「てまきずし」だが「のりまき」と答えるし、「ざ」は「ざるそば」だが「ラーメン」とのことだった。言葉が分からないから、そのイラストを見て自分なりに考えて発言しているのか、どうなのか。

娘はまだ文字が読めないので、頭の中で文字で整頓しているわけはないと思う。この情報量の多いイラストを映像記憶として覚えて歌詞に変換しているのかなあ、と思うと子どもの脳って不思議だなと思った。

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