COVID-19と我が家への影響(7):隔離生活にちょっと慣れてきた

4月13日(月):自己隔離生活から一週間、再び母が来る

週末、知らない土地・ワンルームマンション・自粛・子どもの相手・雨天が重なると地獄を見ると知ったのでそれから天気ばかり気にしていた。あいにく週初めのこの日も雨。だが塞ぎ込んだ私を見た夫が、今日は自分が仕事を休んで子どもを見るので私に仕事の時間をくれるという。毎朝起きては「今日もこの慣れない土地で人混みを避けながらどうやって子どものエネルギーを発散させよう…」と思い詰めていた私にとって、この悪天候の日に私に時間をくれるという夫は神かと思った。

この日、実母から、ちらし寿司を作ったから持ってきてくれると連絡があった。渡してすぐ帰るから、とあったので、あっ分かってくれたんだな、と思ってありがとうと返した。母が来てアパートの下に車を停め、荷物を受けとり、このとき爪切りも一緒に借りたのだが爪切りは使ってすぐ返してくれとのことだったので母を車の中で待たせていた。

いそいで爪を切り、部屋を出たところで母から電話が。「ごめんごめん、今下りるから」と言うと、「メール見てないの?下の駐車場に車停められたから上がるわ」と。アパートの目の前にコインパーキングがあったのだが、たまたま一台空いたのだろう、それを見て母は「チャンス」とまで思ったかどうかは分からないが、反射的に車を入れたのだろう。ここまでやってきたのだからちょっと部屋に上がって孫の顔を見たかったか?気持ちは分からなくもないが、何のための隔離生活だろう。理解されていないことがやっぱり悲しかった。

「えっ?」と私も声をあげて、もう部屋を出たところだったし、「今おりるから」とそのままアパートの外に出ると、母は怒った顔で爪切りを受け取り、入庫したばかりの車のために駐車料金を払ってこちらの顔も見ずに出て行った。申し訳なかったが、約束は約束。こういうことをされるとつらいというのがどうして分かってもらえないんだろう…途方にくれた。

父も父で、突然電話がかかってきたと思ったら「今アパートまで来てみた」ということがあった。アパートは父の勤務先から遠くもない距離だったが、その日は仕事が休みのはずの日だった。休みの日にも仕事があるといってのこのこ出勤し、ランチはいつもどおり外食し、こうやって無駄に足を伸ばしてアパートまでやってくる。私が心配だから気にかけてくれているのは良くわかる。でも娘の苦渋の決断がそんなに信じられないか。なんだかとてもやるせない気持ちで、腹も立ち始めていた。

東京はもっとみんな緊張感を持っていること、私は絶対に感染したくないし大切な人に感染させたくないこと、だから帰省のタイミングで自己隔離をすると決めたこと、もうちょっと必要な外出について考えてほしいと思っているということ…など、いくつかのデータ記事とともにメールでまとめて父と母に送ったが、母から「次は上がらないようにします」とだけ返信があって父からは何もなかった。

4月14日(火):知らない人との会話に救われる

昨日夫に娘を見てもらったので今日は私が子守り。幸い昨日から天気は回復し、娘をベビーカーに乗せて散歩に出た。

スーパーで買い出しをした帰り、テイクアウトをしているカフェを見つけた。そのメニューがちょっと特徴的で留学時代を思い出すような内容だったので、店員さんにちょっと聞いてみた。と、その人も私と同じエリアに留学経験があり、そこでコーヒーのことを学んでこのカフェを開いたのだと教えてくれた。弾む話には不便なほどの距離を、でも今は必要なこと、とお互い暗黙の了解でとりながら静かに会話を楽しむ感じが、自分でも滑稽で、でも楽しくて、久しぶりの他人との会話に心が洗われるような気持ちがした。それで、自分が何気ない人との会話にこんなにも飢えていたのだと知った。

何も分かっていない娘には、ここは「旅行のおうち」と伝えてあった。「まめちゃん、旅行のおうち、楽しい?」と聞くと「うん」と。「しんどい?」と聞くと、次は自分の言葉で「りょこうのおうち、うれしい」と返ってきた。ほっとして涙が出た。つらいつらいばかりの隔離生活にちょっと光が見えた。


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