ふたつのダンスの教室に長女を連れて体験レッスンに行った記録と、そこで感じたこと


たまたま見つけたクラシックバレエの教室

火曜日。長女(3歳6か月)を保育園に迎えに行った帰り、ちょっと郵便ポストに寄りたかったので遠回りした。住宅街の中にある集会所みたいなところの前でお迎えと思われるお母さんたちが並んでいる。「ここ、なにかのお教室ですか」と聞くと「バレエです」と。「へえそうですか」と言って通り過ぎようとすると、長女が「なあに」と聞くので「ここ、踊りの教室だって」と言うと、「見たい」と言って聞かない。レオタード姿の子どもを見たわけでもないし、どんな踊りかだってわからないはず。なのに「見たい、見たい」と言ってその場から動かなくなった。「突然行ったら先生もびっくりするから、あとで『今度見に行かせてください』って電話しようね」と言うも全く聞かない。仕方なくスマホを出して検索してみると、長女の年齢のクラスは金曜日か日曜日だった。「じゃあ今先生に電話するから」と言ってその場で電話し、日曜日に体験レッスンに行きたいです、と残した。それを聞いていた長女はちょっと落ち着いたが、やっぱり今見たいのだと。「かえらない。あるかない」と。長女を引きずるように歩き始めたが動かない。ふと通りかかった女の子が髪の毛をおだんごにしていて、私たちの押し問答を聞いていたのかちらちらとこちらを見てくる。この子に助けを求めるしかなーい、と思って「お姉ちゃん」と声をかけた。「今あそこのバレエ教室から出てきたの?」と。「うん」「お姉ちゃんは何歳?」「小3」「(長女が分かる言葉で言って欲しいと思い)しょうさんっていうのは何歳なのかな」「8歳」「そっか。この子は3歳なの。じゃあ今のクラスだとみんなお姉さんすぎるよねえ…3歳が行けるクラスは何曜日か知ってる?」「ベビークラスは金曜日か日曜日です」「お姉ちゃん、ありがとう」と言って私が見送るまで長女は黙って聞いていた。でもその女の子がいなくなるとまたぐずり始めた。最後は次女を抱っこしたまま長女をおんぶして帰った(合計22キロ!)。

帰っても、見たい見たいと聞かなかった。日曜日まで待てないとのことだったので、お稽古が終わった時間にもう一度電話して、金曜日の体験レッスンに行くことになった。が、それすらも待てなくて、翌日水曜日の小学生クラスに見学だけ行かせてほしいとお願いした。先生は「いいですよ。トウシューズを履くクラスだから、幼児さんとは全然雰囲気違うけどいい?まあ見るだけだったら10分くらいで飽きちゃうだろうからいつでもふらっと来ていいわよ」と言った。

夜寝る前、私が小さい頃バレエを習っていたときの写真を見せてみた。発表会の写真だったので綺麗な衣装を着ていたのもあってか、長女は食い入るように見つめていた。

翌朝、見学だけだと言っているのに、長女はいちばんお気に入りのワンピースを保育園リュックに入れ、保育園が終わったらこれを着て見にいくのだと言っていた。夕方、保育園に迎えに行くと、いつもとは違いさっさとリュック掛けのところまで行きワンピースを出して着替え始めた。目標があったら脇目も振らずまっしぐらなところにちょっとびっくりしてしまう。

見学は10分くらいでしょう、と言われたバレエ教室で、長女は結局45分じーっとお姉さんたちを見ていた。今日は見るだけよ、と言っていたが一緒にやりたくてたまらないらしく、お姉さんたちのように背伸びをしてつま先で立ったり、手を上げたり、座った私の肩をバー代わりにして脚を乗せてきたり。あとは途中で「おねえさんたちみたいに(髪の毛を)むすんで」と言っておだんごにしてほしいと訴えてきた。先生が「珍しいわね」と言った。興味があるってこういうことなのね、来ても全然興味ないって子もいるのよ、と。45分経ったとき、自分の中で何かが満ち足りたのか、「帰る」と言い出してさっと立ち上がった。でもちょうどその時、「じゃあトウシューズ履いて」と先生が言った。ので、ここでちょっと私の欲が出てしまい、「トウシューズ見ていかない?」と誘ってみた。長女はうんと言ってしばらく見たが、次はそこそこで再び「帰る」と言って、教室を出た。そこの教室の発表会のパンフレットをもらったのだが、帰宅したあと穴があくほど見ていた。「これやってみる」とひとつひとつ写真を見ながらポーズを真似っこしていた。

金曜日はとうとう幼児クラスで、自分も参加できることに長女は嬉しそうだった。Tシャツにレギンスに靴下で、と言われていたのに、やっぱりいちばん気に入りのワンピースを着ていった。長女は靴下が嫌いでいつも素足に靴を履き、公園でもすぐに裸足になる。のに、この日はおとなしく靴下を履いている。ストレッチで先生が娘の身体を押さえて、「どう?痛い?」と聞くとだまって首を振る。ああ、先生の言うこと聞かないと、と思ってるな〜、耐えてるな〜と思うと健気で、そういうところが自分を見ているような気がした。他の子がバレエシューズを履いているのを見て、まめちゃんはくつないの?としきりにシューズを欲しがった。この日のレッスンは50分だったが、終始楽しくて仕方ない様子だった。スキップとかギャロップとか、全然できていないのに、「できるよ!」と言って駆け抜けて行く姿がすごく堂々としていた。

ヒップホップダンスの教室

その二日後の日曜日。実はこの日、近所にヒップホップダンスの教室ができたので一度覗いてみたいなと思って前々から体験レッスンの予約をしていた。音楽にのって踊るのが好きですね、全然飽きないですね、といつも保育園で言われるので、なにか音楽に合わせて身体を動かすことをさせたら喜ぶのじゃないか、と思っていたからだった。

こういうところに行くと、まだちいさい子どもたちなのに本当に個性があって面白いな、と思う。親にくっついてまったく参加しない子、恥ずかしいのか踊りはしないが、じっと見ている子、興味はなさそうだが親がサポートしながらやっている子。娘は、興味があるのかないのかわからないがとりあえずはその場に入ってやる(そういうところも私と似ていると思う)。前半20分はやり切った。そのあと一度「帰る」と言ったのだが、次の20分はまたちょっと違うジャンルのダンスだったので「もう一回違うのあるからやってみない?」と誘い(なんか思い出して書き起こしてみると、ものすごく習い事をさせたい親みたいだが‥娘の反応が見たくてついつい…)その場に残った。

後半も、10分は踊った。でも10分経ったところで、突然すーっとグループから抜け出して後ろで見ている私のところにやってきた。この日は娘よりも1歳、2歳大きい子たちが多くて、ものすごく元気に動く男の子なんかもいたので圧倒されたのかもしれない。あとは、通常のレッスンにたまたま参加したバレエとは違いこちらは一回完結のプログラムが組まれていて、短時間で少しずつ振りを覚えてその場でワンフレーズのダンスを完成させる、みたいな構成になっていたからか、振りにもリズムにもついていけなくなった娘はつまらなくなったのかもしれない。うんうん、おいで、と言って残りの時間は他の子が踊るのを見ていた。のだが、最後の最後、「はーい、じゃああと1回踊ったらおわりにしましょう。終わったらシールをあげるね」と先生が言っった瞬間、娘はまたすーっとグループに戻っていって踊り始めた。シールに釣られた!ご褒美に目がくらむのも私とそっくりで驚いた。しかも、先生たちが二手に分かれてシールを配り始めると、「どっちの先生がかわいいシールを持っているかな」とばかりにあっちとこっちを行き来し品定めしてからもらうシールを決めていた。そんな子は娘だけだった。そういうところも私と似ていて衝撃だった。

そして、私の感じたこと

初めての経験を立て続けにした直後に私が不用意に話しかけると変に誘導してしまいそうだったので黙っておいたが、娘は夫に、「ずっとつづけるならバレエがいい」というようなことを言っていたらしい。とにかくつま先で立つのがやりたくてたまらないらしく、家でも「みてみて」と言って何度もつま先で立とうとする。ちょっと怪我しそうで怖いくらいだったので、先生から言ってもらったほうがいいかもしれない、と夫が言ったほどだった。

もともとヒップホップのダンス教室に行ってみようと思っていただけだったのに、たまたま通りがかったバレエ教室に同じタイミングで行くことになり、娘の様子の違いがとても興味深いと思った。と同時に、娘を見る私の感情も異なっていることに気づいた。私は自分自身がバレエを習っていたからか、小学生のレッスンを見学したときも、幼児のレッスンに娘が参加したときも、私が身体を動かしくてたまらない気持ちになった。懐かしくて、子どもたちがキラキラして見えて、素敵だなあーって。参加していたのは娘ふくめ4人だったが、ずっと自分の娘の姿ばかり見ていた。全然踊れない娘を見ていても、だんだんできるようになるという道すじを信じられるというか。

ヒップホップのほうは私が全然分からないジャンルだからか、踊れない娘を見ると「大丈夫かな?このあとどうなるのかな」とそわそわした。そしてノリノリで踊れる周りの子どもたちばかり見てしまった。逆にいうと、そういうふうに私の見方に偏りがあったから、それが伝染してしまって娘の様子にも現れたのかな?

今のところ、娘はバレエのほうが興味がありそうだけれど、ここでもし娘がヒップホップダンスを習いたい、と言ったとしても、同じように娘を見守ってやれるだろうか?習い事として通うかどうかは分からないけれど、印象深い経験だったのでメモ。

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