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ICONIC / アイコニック

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アイコニックシリーズをまとめました。
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2023年8月の記事一覧

ICONIC 番外編③ 「TECHNO KAISER社」紹介

ICONIC 番外編③ 「TECHNO KAISER社」紹介

 みなさんこんにちは。日本で世界最初のクローン開発が始まり、それが海外に広がり、そして世界的な産業として根付いてはや三十年。22世紀ももう目前にまで近づいてきましたね。さて、クローン開発も歴史が深くなりつつある昨今、海外でも様々な新興企業が名を挙げ始めています。それでもなお、クローン開発業界でトップに君臨し続ける、かの有名な「GorldEdge社」に肩を並べる我らが帝王、「TECHNO KAISE

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ICONIC / アイコニック ⑩

ICONIC / アイコニック ⑩

 翌日、俺はいつも通り学校に行った。朝には武村とも昨日の話についてあまり触れず、THT関連の話を滔々と続けただけだった。
 一限はクローン科だった。
「それまで主流だったヒューマノイドがクローン人間に取って代わられたのは何故か。えぇ〜、佐々木」
「ヒューマノイドに搭載されていた学習プログラムの制御ができなくなったからです」
 その通り、と言いながら先生はホワイトボードに板書を始めた。ノートの紙にシ

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ICONIC / アイコニック ⑪

ICONIC / アイコニック ⑪

 二限目は数学Ⅰだった。始まるや否やすぐ眠りに落ちてしまったことは言わずもがなだろう。数学は眠いし、世界は広い。この世の理の一つだ。
 チャイムと同時に目を覚ました。顔をあげ周りを確認したが、パッと見た限りで半分以上が眠っていることが分かった。うつ伏せになっていたり、腕を伸ばして机に伸びていたりとすぐにわかる形になっているのも面白い。
 先生はすぐに教室から出て行った。前にも言ったが、クローン生徒

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ICONIC / アイコニック ⑫

ICONIC / アイコニック ⑫

 「…ついに来たな」
「あぁ、そうだな」
 俺と武村は今、午後七時の学校の校門前にいる。二人とも家と学校は遠いため、近くのファミレスで時間を潰して待っていたのである。
 まだバスケ部かバレー部かが活動しているのか、体育館は明かりがまだ点いており、シューズの出す甲高い音がここまで聞こえてきた。しかしボールが地面に叩きつけられる音が全くしないため、もしかするとバドミントン部か卓球部なのかもしれない。今

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