ツンドク?読んどく ⑭
土井善晴さんと稲田俊輔さん 2021/06/04
土井善晴さんのことを知ったのは「土井善晴の美食探訪」というTV番組を観たからだ。
「おふくろの味」という言葉を世に広めた日本の家庭料理研究の第一人者、土井勝さんの息子さんということは知ってはいた。もちろん土井勝さんは、リアルタイムでTVの料理番組を観ていたからお顔が今もぱっと浮かぶぐらい憶えている。
「土井善晴の美食探訪」の土井善晴さんは、料理に向き合う謙虚で真剣な様子や、料理人の方、生産者の方に対しての敬いの心が自然に物腰に現れていて、とても清々しかった。
そして平松洋子氏『食べる私』での対話で、俄然レシピ本など著作を読みたくなった。
対話の流れの中で「~人のレシピを見ようと思ったら見られるけれど、私は『目が汚れる』と思ってみないですね(笑)」とズバリとおっしゃる。
流行ものの影響を受ける、他のものと似るのが嫌だからなのだそうだ。
フランス・日本での料理修業を経て、お店を持ちたいと思った矢先の家庭料理の世界への転身。
河井寛治郎記念美術館で民藝と出会い、「ああ、家庭料理は民藝や」と気づき、「一汁一菜」という提案で家庭料理の、料理に携わる女性の解放までも考慮した「料理の柱」となる食事スタイルへの提言へと続く。
モットーである ”清く正しくおいしい「きれいな味」の家庭料理” はどの著書からも伝わってくる。
https://www.1101.com/doiyoshiharu/index.html
中でも私がページをめくりながら「すごい!いやー美しいわ」と感動したレシピ本が『お箸で食べる洋食』と『ふだんの料理がおいしくなる理由』の二冊。
数多のレシピ本を読んでいてああ、またかと思うのは、美味しい素材をこれだけたくさん使った料理なのに必ずといっていいほど化学調味料やうまみ調味料、洋食なら顆粒コンソメを使うレシピが多いこと、旨み過多やろと一人でツッコミを入れながら本を閉じるわけだけど、土井善晴さんの著書では使う調味料にしても数えられるほどで、顆粒コンソメを使用するレシピは加えたほうが絶対おいしいと土井さんが確信されたレシピだけ、数点。
パン粉は買わないで食パンで自家製パン粉を!という提案もそうそう、と頷く。(私はバゲットパン粉派)
料理の基本レシピ本には、きれいな料理のコツが丁寧に解説されていて、キャベツの千切りひとつとっても丁寧な切り方がそうする理由とともに書かれていて納得できる。読んでいてスカーっと気持ちよい。
知らないことも多いし、あれ?そうなの?という気づきや学びの多い名料理本。
レシピは為人。人格。生き方でもある。
《料理の本は「道具」だと思っています。しっかり使い込んでいただければうれしく思います。》とも記されている。
よい本に出会えた。
稲田俊輔、イナダシュンスケ
エリックサウスの創業者であり、お店を超人気店にし、日本に南インド料理を広めた立役者であり飲食業界のプロ、私は彼ほど食を的確に言語化できる人はいないと断言しちゃう。
カレーはもとよりファストフード店、特にサイゼリヤ分析と具体的オーダー法の提案は一理あってなるほど、よし、いつか実践してみようという気になる。
稲田俊輔『飲食店の本当にスゴイ人々』
料理人としては異色の経歴の京都大学卒。
『だいたい1ステップか2ステップ!なのに本格インドカレー』は、”インド料理界の奥薗壽子さん” とでも呼びたくなる、インド料理の方程式に基づいた合理的調理法が編み出されていて、こりゃ、ヒットするでしょ。
いやいや、すごい方です。
本を読んで、行きたくなったドムドムバーガー!
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