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ベトナムの田舎暮らし タイビン編 ~Thai Binh 2017~

タイビン省


タイビン省はハイフォンから南に約50km位置するベトナム北部の都市のひとつだ。
有名な観光名所もないふつうの農村都市。
僕の妻の田舎でもある。

妻とは結婚して3年になるが、今回、初めて妻の田舎を訪れた。
ホーチミンを夜9時に出発して夜11時にハイフォンに到着した。
ハイフォンCat Bi空港は小さいが新しいため綺麗だ。

12月の北部は寒いと聞いていたが、それほど寒くはない、日本の秋と同じくらいの気候だろうか。。
すこし湿度があるが、これくらいの涼しすぎる季節が好きだったことを思い出した。

ハイフォンから車で1時間半走り妻の田舎に着いたのは、1時近くになっていた。
妻の母は寝ずに待っていてくれて、夜食のバンダーを作ってくれた。
そのあとは、案内されたベッドは、家族3人川の字になって寝るには狭く、そしてマットレスが硬いのも気になったが、さすがに2時も過ぎていたのですんなりと眠りについてしまった。

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田舎の結婚式の朝は早い


まだ、外が真っ暗だというのに、にわかに外が騒がしくなった。
おそらくまだ5時くらいだろう。こんな時間にいったい何なんだ。

なにやら話しながら、食事の支度をしている。
しかも外から聞こえてくる話し声は、3~4人という少人数ではなく、明らかに10人以上いる。
妻はその物音に起こされたまま、外に出て彼らの行事に参加しているようだ。

僕、眠いから半分目を覚ましたような状態で寝続けていた。
しかし、しばらくすると、今度は大音量で音楽が流れだした。
さすがにこれにはまいって、飛び起きるしかなかった!

息子も起きた。
家の外に出ると親戚一同で今日の結婚式のための料理をしていたのだった。
都会の結婚式は、ホテルや結婚式場で行う場合が多いが、田舎では自分の家に客を招いて結婚式を行うのだ。

妻の親戚一同は、僕のことを知っているが、僕は声をかけられても誰が誰だかよくわからない。
ベトナムの親戚関係は複雑だ。

1日2回の結婚式


結婚式は地方によって、やり方が微妙に異なる。
今日の主人公は妻の従妹だ。
結婚相手は100㎞離れたニンビンにある山村に住む青年だ。
100㎞くらいの距離なら同じ地方と行ってもいい。

昼間は、新婦の実家で式を行い、そのあと新郎の実家に移動する。
移動時間は車で約2時間半だ。
ちなみに、地方によっては、新婦の家では式を行わない。
新郎は妻を実家に迎えに来て、新郎の家に連れて行き、新郎の実家で式をおこなう習わしもある。

ベトナムは、地域に対する帰属意識が強いためか、あまり離れた地方同士で結婚するのは見かけない。

100キロ離れた新郎が住む田舎はNinh Binhニンビンだ。
ニンビンといえば、2014年に世界遺産に登録されたチャンアン名勝・遺跡群がある地域だ。
ベトナムの世界遺産

タイビンには山がなかったが、ニンビンに入ると山が目に入るようになった。
「せっかくここまで来たならチャンアンにも行ってみたいものだ。」
と思いつつ、本日2回目の結婚式に出席した。

ベトナム生活7年目にもなると、酒の飲み方、というか、酒からの逃げ方も慣れてきた。
なるべく、席につかずほとんどお酒を飲まずに今日を乗り切った

次の日


「朝食だよ!」
と呼ばれて外に出ると、この土地の郷土料理バンダー(Banh Da)が出てきた。

そして、二人の叔父が、ビールと地酒を持って登場した。

おいおい
朝から、酒が飲めるわけないじゃん。

二人共明るくて優しい、愛すべき叔父なのだが、1日中酒を飲んでいるから、これにはまいる。
丁重にお断りして、バンダーだけすすった。

ところで、ベトナムの田舎は本当に静かだ。
ホーチミンやハノイの喧騒とは違う世界がある。

道を歩けば、知合い(妻の)ばかり。

小さい子供たちも外で、楽しそうに遊んでいる。
田舎ならではの監視体制があるから、犯罪とは無縁だし、安心して暮らせる場所だ。
ここで暮らすのもいいかもしれない。

北部タイビンの肌寒さは、日本の秋を思い出し、なんだか懐かしい気持ちになった。

烏骨鶏の鍋と朝鮮人参のお酒


最後の夜は、親戚一同集まり、烏骨鶏の鍋でもてなしてくれた。
そして、特別な夜ということで、朝鮮人参を漬けた地酒が出てきた。
さすがにこの時は、断るわけにもいかず、すすめられるがままにお酒を飲み干した。

しばらくは良い気持ちになった。
そして、良い気分のまま眠りについた。

ベトナムの田舎は美しい。
特に、北部の住宅は統一感があり、街全体が調和している。
南部の平屋は、屋根をスレートやトタンで葺いたバラックが目立つが、北部の住宅は建主の趣味か建築家の趣味かわからないが、そういった安物で仕上げることはしていない。

だから、街並みがとても美しい。

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僕は、ベトナム南部に住んでもうすぐ7年になるが、北部の美しさにここを奪われた。
ハノイに行ったときもそうだった。

また、来年もここに来たい。

田舎暮らしで感じたこと

小雨が降るベトナム北部は、日本の気候に近いので、懐かしい気分になります。

☑︎WiFiがない
☑︎ベッドが硬い
☑︎トイレが汚い
☑︎シャワーのお湯が出ない
☑︎喫煙者が多い(子供が多いのに、歩きたばこにはイラッとする。)
☑︎飲み会はビールではなくてお酒

若い時はこの状況楽しめたのに、今ではしんどい

そして、日本人とベトナム人の共通言語は少ない。

「アジノモト!」
とか
「スモウ!」
って言われた時、昔はイラッとしてた。

でも、日本をよく知らないベトナム人からしたら、彼らなりのコミュニケーションなんだよね。
Cám ơnさえ知らない人は、日本にはたくさんいるわけで。
日本人が知ってるベトナム語ってphởくらい。しかも話しても通じない

日本人だったら、初対面のベトナム人に対してなんて言うだろうか?
「カモン!Cám ơn 」
「シンチャオ!xinh chào」
も知らない日本人は、ベトナム語を話そうとせずに、サンキューとかハローになるだろう。

相手の国の言葉を話そうという行為には、好感を持って受けよう(と自分に言い聞かす)

妻の故郷に来ると、人間関係の相関表がほしくなる。

親類が多すぎて、初対面で、BácかChú かCậuかなんて覚えられるわけない。

年上でもEmがいるし、年下でもAnhがいるし、ベトナム語のややこしさは声調よりも二人称の多様性なのではないだろうか。

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