君に百回「好き」といってから死ぬ

〈#2ライントーク〉

 昨日、蒼に告白してOKもらって何故だかわからないが、泣いて。

 でも、嬉しかったから泣いたんだ、と、理解している。そっちの方がしっくりくる。

 今日は土曜。学校もない休みの日だ。

 特別何かするとかいうわけではないけど、今日は少し家でゆっくりしてから会おうということになっている。

 その予定が全く立っていないので、ラインで話す。

「おはよう」

 と、送ったら同タイミングで

『おはよ〜』

 と、帰ってきた。

 随分返信が早いんだな、と感心しつつも会話を開始する。

『今日もいい天気だね。今日なんかしたいことある? あ、私は梁くんに会いたいかな?』

 なんとも可愛い返信だろうか。

 ほんと、心から告白してよかったと思える。前々なんて、ヘタレだったから告白しようとしても躓いて出来なかっただろう。

 まあそれはともかく。蒼に返信してあげないと。

「俺も、蒼に会いたい。みんながやってる、『デート』? とやらをやってみたい。軽くでいいからさ。カラオケとか行ってみようぜ」

 かなり恥ずかしい気がするが、まあいいや。すると——

『いいよ。私もデートしたい‼︎ それにしてもカラオケかぁ。久しぶりだねぇ。いつぶりだろう。下手だったらごめんね?』

 いちいち可愛いことを言ってくる可愛さの暴力。ついにやけてしまう。そうしていると、母が顔を覗かせ、「何事⁉︎」と驚いていた。だが、そんな母はお構いなしに返信をする。

「蒼は下手なわけないだろ。それで、今日はいつ会う? 午前は俺の調子が合わなくて。ごめん。午後なら全然いいよ」

 自分の都合で言ってしまったが、平気だろうか。

『うん、いいよ。私も午前は勉強しなきゃだからね。お昼過ぎの十三時とかは平気?』

 蒼の癖が出ている。なんでも午前中に済ませてしまういい癖。しかも、都合を悪く捉えてくれなかった。嬉しい。

「よし、じゃあそれで行こう。また十三時にな」

『うん』

 そこで会話は途切れた。そして部屋を見渡すとニヤニヤした母が——

「あ……」

「梁、なににやけてるのさ。何かいいことでもあった?」

「いや……あんまり……てか、勝手に部屋に入って来んなよ」

「呼んでも返事が来ないから」

「ああ、ごめん。で、何用?」

「朝飯」

「了解」

 直ぐに朝ごはんを食べ、デートまで暫く時間があるので服のコーデなどを彷徨っていた。が、自分じゃ決められないので、結局週間雑誌の表紙の服にしてしまった。

 そして、いつもなら五分で終わる紙のセットも三十分掛け、明らかに『デートしますよ‼︎』と言った雰囲気になった。

 それでも時間が余っているため、趣味で楽曲制作をしているのでそれの続きをしたり。

 そして昼ごはんを食べていると母がニヤニヤしていた。恥ずかしさから逃れるためにテレビを見ていた。

 そして時間は十二時三十分になり、そろそろ出掛けると伝えて家を出た——



梁の死亡まで残り九九日。

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