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思考の穴 穴を塞ぐのは難しいというお話。

Q?:「思考の穴」はふさげるか?
A?:とても難しい。でも知れば対応できる。

思考の穴──わかっていても間違える全人類のための思考法
アン・ウーキョン
を読みました。

自分の考え方にも自信が持てない。
相手が何を考えているかわからない。
でも話をしなければいけない。

そんな考えを常に持っているせいか、心理学やコミュニケーションに関する本は好きな分野の一つです。

洋書でよくある「○○大学の大人気講義」という枕詞には、あまり囚われません。
なぜなら、「○○大学」の凄さを知らないから。


思考の穴ってどういうこと?

思考の穴とは、人間の考え方のエラーやバイアスのことです。
つまり、考え方の誤りや偏りのことです。

本書の中から有名だと思われる一つ例を挙げると、
確証バイアス。
自分が正しいと証明する証拠ばかりを集めることです。

子供が親に物をねだるときに「みんな持っているから買って」という、あれです。

これは非常にわかりやすい例ですが、あちこちに潜み、現れます。
さして影響のない場合もあれば、深刻な影響を及ぼすこともあります。

こういったバイアスは、脳のトップダウン処理によって起きます。

目に入ったもの、手が触れたもの、体を動かすこと……
全て脳が処理をしており、その一つ一つを全て厳密に対応しているとあっという間にオーバーフローし、カオスになってしまいます。

そのため、目に入ったものを情報を文字として認識し処理をする、といった基本的なものは自動処理されます。
これがトップダウン処理です。

こういったトップダウン処理は、人間が種として生き残っていく過程で生まれてきました。
基本的な物事はトップダウン処理で行い、それ以外の重要なことに脳のリソースを割いてきました。

なぜ、穴を塞ぐのは難しいのか?

人間の思考、行動を司るのは脳。
その脳がトップダウン処理を行なっているのです。
それを覆すのは、とても難しいことがわかると思います。

また、全ての物事に判断、思考していくことも難しいでしょう。
脳内処理の話だけでなく、実生活でも全部を自分で行うのは難しい。
だから他人の手を借りたり、機械の力を借りるのだと思います。

脳の処理だから、知識量を増やせばコントロールできるのでは?
それも難しいようです。

「知的な人(=知識量が多い)」は、自分の意見に矛盾する事実を誤魔化す術をたくさん心得ている。
とのことです。
確かにその通りだと思います。

できない理由ばかりを挙げて、やらない人。
この例に当てはまるタイプだと思います。

何よりもバイアスのかかっていない事実を知ることが、とても難しいです。
相手の気持ちを察しようと、あれこれやっても結局うまくいかないことが多いです。
(できるのであれば)率直に相手に気持ちを聞くのが一番です。

でも、これって一番、難しいですよね。

思考の穴にどう対応するか?

思考の穴について知ることです。

本書にはいろいろなバイアスとその実例が記載されています。
学術的な例もあれば、実際に授業で行われた身近な例も多いです。
「あるあるある!」というものから、「ふー、そんなものもあるんだ」まで様々です。

自分では当然だと思っていた思考や行動が、実はバイアスによるものだったと知ることもあります。
こういったバイアスについての造詣を深めることで、立ち止まって考えることができるようになります。

立ち止まって考えることで、バイアスを回避することができるかも知れません。
またバイアスによる相手の言動を知ることができれば、自分の言動も変わってくるでしょう。

でもバイアスを回避することにこだわり、立ち止まってばかりもいられません。
さして影響のないものは受けれ入れるという選択も必要だと思います。

本書の結びの一文がとても良いので、引用します。

思考の全てを完璧に思いどおりにすることはできないし、する必要もない。

思考の穴 360ページ

現状維持バイアスが一番手強い(個人的に)。
そんな今日この頃。


「紙1枚」

#読書 #アン・ウーキョン #思考の穴


「○○大学」、心理学つながりでは、こんな記事も書きました。

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