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ショートショート集

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#読書

スターダスト

「この戦争の勝者が宇宙の覇者になれると言っても過言ではない。心してかかれ!」  隊長が無…

ふたり

「次はなんだっけ?」 「次がもう最後よ」 「最後。あぁ、そうか……」  ふたりの男女は宇…

奇なること

 締め切り当日。小説家の男は今日が期限だというのに、原稿が仕上がらず、頭を抱えていた。 …

趣味提案

 趣味がない。というのは多くの人が抱える悩みのひとつだ。昔の人からすれば贅沢な話だろうが…

雑音

 朝。目覚まし時計の鳴る音で私は目が覚めた。と同時に、頭の中のチップが作用し、曲がかかる…

ヒトミさんのおうち

 ヒトミ・シーリさんは極度の人間嫌いで有名な小説家です。できるだけ人に会わないように山奥…

調査

 宇宙連合より指令を受け、サイトウ星人たちの乗ったロケットは宇宙の旅を続けている。今回、連合から指定された調査対象は、この太陽系の惑星たち。窓の外を見ると真っ赤に燃える太陽を中心に、いくつかの惑星が規律正しく公転している。 「隊長、あの青い惑星が地球でしょうか。美しいですよ」 「うむ、あの青さは水だろうか。とすれば、我々が探している高度な文明を持つ生物がいる可能性が高いぞ」  かくして調査は開始された。サイトウ星人たちは、ゆっくりと地球に近づいていく。もし仮に、この星に

10年後の「私」へ

 10年後というと、君は32歳である。いかがお過ごしだろうか。私はといえば、就活の最中である…

醜い顔

 夜。強い雨が降っていた。妻が一向に帰ってこない。外れにある街まで出かけてから、もうかな…

光のない時代

 それはもう百年以上も前のことだ。宇宙に飛び交う人工衛星を管理するスーパーコンピューター…

概念

 生まれた時から、長くて10年と少しくらいだろうか、それくらいは固有脳を持っていることが多…

真正面教師

「部活はな、絶対に運動部に入ったほうがいい」 父は言った。  食卓には姉の好きなおかずが…

矛盾

 ロボット産業は大きく進歩した。ロボットの見た目は、ほとんど人間と見分けがつかないところ…

極上の生活

 眠れない。このところベッドに横になっても全く眠気がやってこない。静かに目を瞑ってはみるものの、一向に明日になる気配はない。  眠るという行為とはどんなものだったか。健康な人間であれば考えなくていいことを考えてしまい、それにより不健康が促進されるという負の矛盾が、今夜も幕を開けようとしていた。  試合開始の合図を押さえ込もうとせん私の気持ちとは裏腹に、眠気は私を置いて遠く知らない街に旅立ちの準備を進めている。  仕事は確かに忙しい。残業時間では足りず、自宅に持ち帰り仕事