【出産記録】第三話 『気合』

前回→【出産記録】第二話『疲労と痛みの向こう側』

助産師さんの「18時までには」という宣言。
「あと3時間だよ頑張ろ!」と励ます夫。

は?
あと3時間?
疲労も痛みもMAXのこの状態を
あ と 3 時 間 … ? ?

どアホボケコラ無理じゃアホンダラしばき回したろかいと思ったがとにかく言われた呼吸の型を繰り返す。
(極限状態のため脳内は沸点の低いおチンピラ)


酸素マスクでかなり過呼吸が楽になり、
なんとか言われた呼吸をこなし続ける。 

痛いし苦しいし羊水ドバドバ出るしいきむなって言われるのにいきんじゃうし35歳体力の限界。
2時間ほどしたところで本当に疲労の向こう側に達したのか逆に気持ちよくなってきた頃、
足を広げてようやく出産らしい態勢に。

「いきみたいMAXで好きにいきんでいいよ!」
と言われたので、早く終わらせたい私は
陣痛のMAXを見極めることに集中する。

もう体力は底をつきた。

お股も痛い。

目もチカチカする。

BIG WAVEを見極めて

いきむ…!!

1回目終了。

さらなるBIG WAVE

いきむ…!

確実に何かが出てきている。

「頭出てきたよ〜。触ってみて〜」

え、今…?
一応触っとくか…
ぷにん。
これ本当に頭ですか…?

ラスト!
次で絶対に決めてやる…!
これ以上は無理や…!


オラオラオラオラぁぉぁあああ!!


にゅるにゅるにゅるっとした感覚と共に、
人と思えぬほど小さい生命体がオンギャーですわ。

あれだけ気合入れてたのに出てきた子を見た瞬間

「おわあ、ほんとに人間出てきたあ」

が最初の感想でした。


気合入れすぎたのか生んだ瞬間からすごく寒くなり始めます。
でもなぜか「寒いです」と言うことができませんでした。
悲しい性ですね。
看護師さん助産師さんたちは色々な作業をこなしながら私に最大限気遣ってくださってるのを見ていて「空調変えろなんて私ごときがおこがましい…」と思ってました。



次回

【出産記録】第四話 『長い終わりの始まり』


絶対見てくれよな!

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