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ゲームをプレイしました: ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN


どういう記事か

ゲームをプレイした感想やら意見やら関連して湧いた思考やらを言語化するための何かである。レビューなんていう大それたものではないので、購入を検討している人の参考になるような代物かはわからないし保証もしない。

前回の記事はこちら。

ACE COMBAT 7は2019年発売のフライトシューティングゲームで、主にPS2時代の人気シリーズであったエースコンバットシリーズの久々の正規ナンバリングタイトルである。エースパイロットとなって大空を飛び回りながら敵を撃ち落としまくるという基本思想はそのまま、現代の技術水準に合わせて構成された作品となっている。

総評

面白くていいゲームだと思った(小並感)。フライトシム系のゲームを本格的にプレイしたことがなかったので、操作が難しいと言われがちな本作のプレイについては不安があったが、よほどボケっとしていなければ墜落なんてすることはない程度の親切設計ではあり、慣れれば割と何とかなる程度だった(この辺は人によるだろうが)。
ミッション内容はところどころ奇をてらい過ぎてプレイヤーに対する嫌がらせみたいになっているものが散見されたのはいただけないが、目立った不満点はそれくらいである。ストーリーもサウンドデザインも素晴らしく、グラフィックも2024年現在でも十分綺麗と呼べるレベルと感じられる。満足度の高いゲームであった。

操作とかミッションとか

ACE COMBAT 7は当然の話ながらフライトシミュレータ系タイトルなので、操作のとっつきにくさというハードルがまず第一に槍玉にあがる。すなわち、左スティックを操縦桿に見立てて操作を行うため、スティックを下方向に入力=操縦桿を引く=機首上げ上方向に入力=操縦桿を押す=機首下げ、という具合だ。このあたりが、上入力=上昇というのが染みついている人にとってはとっつきにくいポイントかもしれない。
また、戦闘機らしく左右に旋回するためには、左右入力でロールしてから機首上げ操作という形をとらなければならない。これらに慣れていない人からすると、どう動かしてどっち向いたらいいかわからずどっちらけになってしまうというのがまず一つ目の高い壁かもしれない。

一応こういった事象への救済として、各操作は入力方向を入れ替えることができる(スティック上入力で機首上げができたりするようになる)。また、先述の通りスティック操作でピッチとロールを操作するのではなく、左右に入力するとそのまま機体を旋回してくれるようにするスタンダードと呼ばれる操作方法が実装されている(従来のピッチ/ロール操作はエキスパートと呼ばれる)。これにより、アクションゲームで左右に方向入力してそっち方向に飛んでいくのと似たような直感的な操作で戦闘機を飛ばすことができる。
ただ、正直この操作方法で最後まで進めるのはお勧めしない。このゲームへのとっかかりとしては優秀なので、とりあえず最低限墜ちないように慣れ親しんだ操作でUIの読み方とかを覚えるために序盤だけ使うならよいと思うが、結局上達してきて細かい機体制御を行いたくなるとスタンダードでは痒いところに手が届かない。それにスタンダード操作でゲームを進めすぎるといざエキスパートに乗り換えた時にスキルのギャップで苦しむことにもなりかねない。そんなわけで、どうせいずれはエキスパート操作に慣れなきゃならないんだから早めに慣れておくのが吉というのが持論だ。
まあ、エキスパート操作とはいっても慣れればどうってことないし、よほど低高度かつ低速で旋回を繰り返したりしない限りバランスを崩したり失速したりして落ちるみたいなことは起きないくらいにはいろいろ緩いので、そんなに気にするほど操作難易度は高くないと言える。

そんな感じで戦闘機を飛ばしながら、実際に敵機をシバいたり地上目標をいじめたりというミッションに挑んでいくことになる。ゲームを進める方式は上記のような様々なミッションが発令され、それに応じて機体や兵装を選んで出撃を繰り返す、よくあるパターンだ。
ミッションの内容についてだが、単に敵が出てきてそれを落として終わりという任務は少なく、途中で新たな目標が追加されたり、そのミッション特有の制限や制約の中で敵を倒していくみたいなものが多い。例えば、一定の高度を超えないように飛べ、砂嵐の中を進んでいてレーダーに引っかからないトラックを探し出してシバけ、諸事情でレーダー上で敵味方の判別がつかないから近づいて判定をしてから倒せ、といった感じだ。
こういったミッションデザインについてはプレイヤーを飽きさせないような工夫が見えるのだが、ぶっちゃけ工夫が行き過ぎてプレイヤーへの嫌がらせみたいになっていてストレスというのが正直なところだ。ミッション内容に合うように有利な兵装を選んでいけば比較的スムーズに進めることはできるが、前述の通りミッション中に状況変化が起こる=ブリーフィングでは案内されていない事象が起こることが多く、そういった何が起こるかの情報を把握している状態でないと適切な対策が取れない場合が多い。中には純粋に楽しいギミックや目標が用意された良いミッションもあるが、残念ながら全てがそうなってはいないというのが正直な感想である。

グラフィック、システム、サウンド

グラフィックはかなり良い部類と言って差し支えないだろう。さすがに5年前のゲームではあるが、基本的に高速で旋回したりあちこちに視線を動かしながらプレイすることになるので、多少チープな視覚表現があってもそう目に付くことはない。

そんな感じで美麗なグラフィックで表現された空や雲の中を飛び回るというのがこの作品の醍醐味の一つといえる。この「雲の中」というのがミソで、今作の雲は単なる背景ではなく、マップ上に存在するギミックの一つとなっている。
雲の中を飛ぶと視界が悪くなるのは当然のこと、ミサイルの誘導性能も落ちるので、敵に攻撃を当てるのが難しくなると同時に、自機にミサイルを撃たれたときに雲の中に逃げ込むことで回避をしやすくするといった活用も可能になっている。また、雲の中を長時間飛んでいると機体に着氷し、機体の機動性能が落ちてしまうという明確なデメリットもある。雲の中ばかり飛んでいると上下左右が分からなくなって危ないというのは実際の航空機操縦あるあるポイントでもある。また、雲の中に入るとBGMにも連動してフィルターがかかり、くぐもった音にリアルタイムで変化するようになる。そういったサウンドデザインの妙も本作の魅力の一つだ。

今作のBGMはそれ単体でも魅力的であり、各ミッションの臨場感の演出に貢献している。また、先述の雲の中を飛ぶと音質が変化するギミックや、一部のミッションの要所でゲーム内の物事の進展と連動した展開のBGMもあり、臨場感というか一体感の演出を見事に実現している。ミッション19のアレとか最高だ。未プレイ者はぜひ自分の手でプレイして体験しよう。
各種効果音についても優れており、爽快感や臨場感を感じさせてくれる。敵に狙われていると無機質なシステム音声による警告音が鳴り響いて危機感を煽ってくるし、敵に攻撃が当たると小気味よい破裂音とともに爆発四散する。遠くの爆発音が遅れて聞こえてこないというのは少々リアルさに欠けるが、むしろ臨場感を削がないために効果音をリアルタイムで鳴らすというのはゲーム的な都合として頷けるところだろう。

ストーリーと作中世界

ストーリーも面白い。ストレンジリアルと呼ばれるエースコンバットシリーズ共通の作中世界で、実在の戦闘機を飛ばす架空の国々がドンパチかましている中、エースパイロットである主人公が様々な任務に従事して戦功をあげていくうちに色々な思惑や陰謀に巻き込まれるといういつものやつである。実在の兵器に交じって軌道エレベーターやらマスドライバーやらレーザー砲やらの超技術・超兵器がしれっと出てくるのもいつも通りである。
この世界観構築がよくできている。戦争当事者の動機や軍人の心情や世論の変化、戦況の進展に応じた任務の内容やその成否が敵味方の発言に与える影響など、実際にそういうことが起こるかも、実際にそういう考えで部隊や軍や市民が戦争に対する捉え方をするかも、というところの納得感とともにストーリーを楽しめる。語り部が味方側と敵方の2名おり、「正義の反対は悪ではなく、別の正義」という戦争モノにありがちなやつを嫌味なく描いてくれていて個人的にポイントが高い。
とはいえ、ストレンジリアルと呼ばれる作中世界を過去作と共有しており、過去作で描かれた各種の出来事がその世界の歴史として積み上げられたうえで今作の戦争につながるという流れが存在するので、前提知識なしで今作だけをいきなりプレイしようとするともろもろの専門用語やら作中の架空の国の名前やらが当たり前のように出てくるので、シリーズ物の宿命とはいえ新規プレイヤーにとってのとっつきにくさはあるかもしれない。
かくいう俺も過去作のプレイ経験はなく、一部の作品のプレイ動画やらTAS動画やらを見たことがあるくらいの知識しかなかったので、有志のWikiや個人ブログなどで作中世界の用語や年表などを調べながらストーリーを追っていくような状態であった。もともとシリーズ世界の知識がある、もしくはそういう作業が苦にならないならば今作のストーリーを純粋に満喫することができるだろう。

とりあえずざっくりと説明すると、オーシアというアメリカみたいな大国があり、こいつは世界の調停者面して世界のあちこちに国連軍だかNATO軍みたいな軍隊を駐留させているのだが、当然ながら基地を作られる側の国からはそういう振る舞いは嫌われていて、その筆頭であるエルジアというフランスみたいな国の堪忍袋の緒が切れてオーシアに対して奇襲するところから戦争が始まる。そして主人公はこのオーシア内の国連軍みたいなやつの一員として、エルジアがあるユージア大陸上で種々の戦いに赴く、ということだけとりあえず把握しておけば、大まかなストーリーの流れで混乱することはほぼないだろう。
こういったポリティカルフィクション的な創作物は個人的には好物なので、そういう要素が納得感ある形で提供される今作のストーリーは純粋に楽しむことができた。

DLC

本作ではいくつか有料DLCが販売されている。有料機体がいくつかあるほか、追加ミッションDLCも存在する。攻略に必須なものはないし、巨大な拡張パックもないので、好みで欲しいものの追加購入を検討してもいいくらいでいいだろう。
追加ミッションDLCについては、本編の嫌がらせギミックの反省か、工夫はいるがやって楽しい要素がいろいろ入っていると感じる。難易度もそれなりに高く面白い。一方でストーリーのほうは明確な「悪」が描写されており、奥深さという意味では個人的に今一つに感じられた。
また、映画TOP GUN Maverickとのコラボとして、同作に登場する機体数種が操縦できるようになるDLCパックも存在する。単純ながら話題性のある異色コラボであり、某ハンティングゲームほどではないにしろACE COMBAT 7のちょっとした再ブームにも寄与した。

なお、TOP GUN Maverickコラボ機体に限らず、DLCで追加される機体については性能が高いものが多いため、キャンペーン攻略に役立つのは間違いない……のだが、逆に攻略に対する試行錯誤の楽しみを損ないかねないので注意したい。

まとめと余談

質の高いストーリーと世界観、それらを美麗に演出して盛り上げるグラフィックと音楽、そしてちょっと癖があるが慣れると楽しい操作感とミッションが特徴のゲームである。
個人的にはかなり好きなゲームだったがとっつきにくさがあるところは認めるし、万人受けするかというとそうでもないと思う。操作にどのくらい早く慣れられるか、ミッションごとの試行錯誤を苦に思わないかといったところで体感難易度や楽しさ、評価が分かれるかもしれない。
とはいえ、リリースからそれなりに時が経っていることもあり、ちょくちょくSteam上でトチ狂った割合のセールが行われている。積んでもいいやくらいで買っておいて、ハマれたらラッキー程度に構えておくのでもいいだろう。

こうなってくると新作や過去作のリマスター版がプレイしたくなってくるのだが、ちょっと観測した感じその望みが叶うのにはもう少し時間がかかりそうである。一応次回作の開発は粛々と進んでいるようなのだが、2024年5月現在では新作情報については音沙汰がない
過去作についても現代のプラットフォームで遊べる環境が整っていないのも残念ポイントである。フルプライスでもリマスターやリメイクがあれば一定の売り上げが見込めそうなところでもあるが、なかなか難しい事情があるのだろうと想像している。
というのも、本シリーズが実在の戦闘機を登場させている関係上、ライセンス取得なども政治的な都合が絡んでくることもあり、一筋縄ではいかないだろうと想像がつくところだ。近年お騒がせな某国の戦闘機など、今作のリリース当時ですら調整が難しかったという事情も目にしたし、今現在ともなれば余計に難しいであろうことは想像に難くない。国際的に政治的な緊張が高まっている中、国際的な政治的緊張を扱った作品の扱いがセンシティブになりかねないというのは皮肉である。

どうしてこんな下らないことが起きると思う?それは国なんてものがあるからさ。

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