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この世から無駄なミーティングをなくす「チャリタブルリーディング」

こんにちは、元シナリオライターのやなぎまちです。

みなさんは、「チャリタブルリーディング」という言葉がをご存じでしょうか?
これは文章を読むときの姿勢、について示唆する言葉なのですが、その内容は「欠点があったら補う」「長所があったら伸ばす」ような形で、相互補助していく読み方のことです。
先日発刊された講談社現代新書の『独学の思考法』の中で紹介されています。

このチャリタブルリーディングですが、社会人なら誰でも経験する「ミーティング」において、とても重要な姿勢だと感じましたので、自分の経験に当てはめながら、ご紹介してみようと思います。

私は、シナリオライターと並行して、大手ゲーム会社でプランナーとしての業務をしていた時期があります。プランナーとは、ゲームの企画を考えるところから始まり、制作の進行から、リリースまでをサポートしていく仕事です。

この仕事での経験は、酸いも甘いもこもごも……といった感じなのですが、今日は、当時の至らなかった自分を振り返りつつ「チャリタブルリーディングとはどんなものか」「どういったところで活用していくことができるか」を考えてみます。

チャリタブルリーディングには3つのポイントがあります。

もともとは、他人が書いた文章を読むときの話なのですが、今回は抽象化して「相手が言っていること」としてまとめてみます。
それぞれポイントを見ながら、実際の現場と照らし合わせてみましょう。

ポイント①:相手は正しいことを言っていると仮定する。

まず大事な姿勢として「先入観」について取り上げます。
下記の例えでは、自分に引き付けてゲームの話をしていますが、みなさんも自分の現場に引き付けて想像していただければ、と思います。

例えばある日のミーティング、そこではゲームのシナリオをどのように修正するか、という議題で話し合いをしていました。
ミーティングに参加するAさんは、どのようにプレイヤーを感動させるかについて、自論を発表するとします。
このとき、どのように会議を進めていけば、より良いコミュニケーションがとれるでしょうか。

まず、相手の悪いところを探ろうとしないこと、次に、自分のもっている意見に強引に引っ張っていこうとしないこと、が重要です。

そのために、一旦、あくまで「仮に」ですが、「いま相手が言っていることは、正しいことなんだ」という姿勢で話を聞くことが大切になります。

一番よくないのは、相手の粗探しをし始めることです。
これが始まると、会議室から「より良いゴールに向かう」という流れが消えます。
そもそも、ミーティングはより良い目的地に向かうために行うことですよね、それなのにお互いの粗探しを始めると、この場で誰が優れているか、という競争に変わってしまいます。

これは、自分が意識していなくても、以外にやってしまうことなので、気を付ける必要があります。

なぜでしょうね、自分の方がいい意見が出せる=意地、や、その意見は自分の好みじゃない=感性……いろんな心の中のモヤモヤが、そういった行動をとらせてしまうことを、僕自身何度も経験しました。そうならないように常にこのことを意識的しておく必要があります。

そう意識したうえで、まず最初は、相手の言っていることを正しいことだ、と受け入れながら聞いていきます。

ポイント②:相手を受け入れる姿勢と、論理的な姿勢は両立できる。

相手を受け入れるという話をしたときに、真っ先に出てくる意見として「相手の言っていることを鵜呑みにしろってことですか?」というのが想定できます。

それは事実を湾曲して捉えているためにでてくる言葉です。
むしろ、論理的な答えを導くためにこそ、ポイント①が重要なんです。

どういうことでしょうか。

「相手が正しいことを言っている」と仮定することには理由があります。
それは、自分の中で一つの「問い」を導くためです。
どのようなものかというと、「もしその主張が正しいとすると、○○の部分が説明できなくなってしますが、その点についてはどう思うのか」という形式の問いです。

相手の主張を正しいと仮定することによって、逆にその主張のツメの甘い部分を炙り出すことができるのです。

わざわざそんな手間踏まなくても、最初からツメの甘い部分を指摘すれば済む話じゃないか、と思うかもしれませんが、ここにも理由があります。

その内容は3つ目のポイントで詳しく論じますが、一言だけ先に言うと「異なる2つの意見の衝突」という事態を避けるためにチャリタブルリーディングが必要になります。

ポイント③:相互補助的な対話で答えにたどり着く。

ここが一番大切なことです。

チャリタブルリーディングは、発話者と聞き手が、互いに足りない部分を補い合うことを目的とした技法です。ポイント①とポイント②は、ポイント③に至るための前提のようなものです。

先ほど、相手の発言の中から、相手のツメの甘い部分を炙り出す、と書きましたが、ツメの甘さを指摘して、良い気分になっていたら意味がありません。
そのツメの甘い部分を「どのように補うか」というアイデアを提示することが、聞き手に求められる技術です。

相手の内容を補い、論をブラッシュアップする、そして今度は、自分が発話者となり、聞き手の側からのブラッシュアップを受け入れる、そうして、目的であるゴールに向かって進んでいくことが、チャリタブルリーディングという技法の目的です

3つのポイントを押さえながら、チャリタブルリーディングが現場でどのように活きてくるのかをイメージしてみました。

ミーティングは言葉を交わすことがメインの時間です。言葉は目に見えないため、複数人で扱うことが難しいものです。ともすれば、議論が同じところをぐるぐる回っており、なんの成果も得られないまま1時間過ぎてしまった、なんてことにもなりかねません。

そのような失敗が起こらないようにするために、チャリタブルリーディングという考え方はとても重要だなと私自身感じたため、今回記事にしてみました。

ミーティングを成功させるには、もっと沢山のコツみたいなものがあると思うので、気づいたとき、また記事を書いてみようと思います。いいねと思ってくださった方は、フォローしてくださると励みになります。

それでは。


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