アスリートにとっての商売道具
ここ数日オリンピックの話題が続いているので、直接オリンピックには関係のない話題について書こうと思います。スポーツ選手にとってその競技に使う道具は本当に大切なものです。なかでも、シューズを履いて行う競技において、シューズは本当に命綱になるような大切なものです。
マラソンでいえば、過去一流選手はソールが薄めの軽量なシューズを好んで使用していました。底が厚くてクッションが利いているシューズは初心者が使用するもの、という理解が共通認識でした。
それが、ナイキが厚底でクッションが利いているにも関わらず、軽量なソールの素材を開発し、さらに反発させるためにカーボンプレートを挟むという画期的なシューズを開発し、世界に衝撃を与えました。以降、主要なレースでは一流選手は皆ナイキのシューズを履くようになりました。今年の箱根駅伝は9割近い選手がナイキのシューズを使用していました。
その状況に待ったをかけるために、各メーカーも続くように厚底のカーボンプレート入りシューズを開発し、厚底の開発競争が始まっています。
また、どんなスポーツでも一流選手が使用している道具はほしくなるもので、メーカーもそのために一流選手と契約し、用品を使用してもらいます。契約にも様々な形態があり、高額な契約金を選手に支払い、製品を使用してもらう契約もあれば、無償での用品提供のみの契約など、様々な契約の形があるようです。本当かどうかわかりませんが、日本サッカー界のレジェンドである中村俊輔選手は、アディダスと生涯契約を締結し、死ぬまで年間5,000万円を受け取れる、なんて言われています。
バスケットにおいてもシューズは重要で、一流選手は大手メーカーと契約をしています。特にバスケットは、ほかのスポーツと違うのは、NBAの一流選手は、それぞれのシグネチャーモデルを発売している、ということです。シグネチャーモデルとは、契約選手の意見を反映して製品開発を行い、その選手の名前を関したモデル名で売り出すのです。世界で最も有名なシグネチャーモデルともいえるのがエアジョーダンでしょう。ほかのスポーツでもゼロではないのでしょうが、NBA選手のシグネチャーモデルはかなり多いです。
現在NBAのポイントガードでは3本の指に入るであろうカイリーアービング選手もナイキからカイリーというシグネチャーモデルを輩出している選手の一人です。そのシリーズは第8弾が先日発表されるまでになっています。
しかしカイリーアービング選手本人が、今回のカイリー8は自分の意見がまるで反映されていない、開発にあたって全く打ち合わせもしていない、と発言したようなのです。バスケットボールのシューズは、ポジションやプレースタイルによって、必要な機能が違うので、本人の意見が反映されていないというのは、プレーの質にも関わってきます。ただでさえカイリーはけがの多い選手なのでけがの心配も出ていきます。
ナイキは先に書いたようにマラソンでかなりのシェアを獲得しているように、ほかのスポーツでも高い率でのシェアを獲得しており、NBAでは特にアメリカのリーグということもあり、おそらくリーグの選手の半分以上がナイキのシューズを使っているくらいです。
その高いシェアがおごりを生んでいるのでしょうか。カイリー選手も変わった選手なので、言っていることがどこまで真実なのかわからない部分もありますが、両者が今良好な関係にないことは事実です。
アスリートの活躍があってこそ身に着けているシューズも輝いてみえます。選手とシューズメーカー、お互いが信頼・協力してより良い製品を輩出してほしいものです。
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