角川文庫版「涼宮ハルヒの憂鬱」発売
スニーカー文庫版の「涼宮ハルヒの憂鬱」を買ったのはいつの頃だっただろうか。少なくとも、アニメ1期が始まってから買っていたと思うから学生時分の頃なのは間違いないはず。
あれから十数年間経って角川文庫版として発売しました。過去にはKADOKAWAの夏の文庫フェアの銘柄にラノベか初めて入るということもあったりしましたが、スニーカー文庫から離れての角川文庫版です。当然ながら文章内容は一緒ですが挿絵はなく、表紙も実になんというか、ふんわりセカイ感の不明瞭な感じになっています。
そう、挿絵が無いんですよね。これが普通に日本文学の文庫本コーナーの新刊台に「憂鬱」「溜息」の2冊同時発売で、他の角川文庫の1月新刊と一緒に全国の書店に配本されているわけですけども、もしこれをアニメその他諸々の前情報なしの真っさらな状態で読めたとしたらどんな風に感じるのだろうかという純粋な問いのようなものはやっぱりありますよね。ハルヒを知っている人間は、挿絵の無い角川文庫版を読んでも、頭の中には各々のキャラが否応なしに浮かんでしまうのです。むしろハルヒ知らない人たちの感想が聞いてみたいくらい。文字以外の情報がない状態でどういうキャラが頭の中で立ち上がるんだろうなぁという興味がわいてきません?絶対楽しいと思うんですよね。
そういう意味じゃ、「ラノベ」の文字を帯からほぼ排除したつくりも先入観もたせないためにも正解だろうなと思います。
帯コメが筒井康隆氏ですが、巻末でハルヒを解説してます。ハルヒを文学として見るとそういう解釈の仕方になるのかという斬新さが個人的には印象的でした。そして、ハルヒをこの角川文庫版から読み始めた読者に、これでもかと「消失はいいぞ!(要約意訳)」と、そこまで読むべしと推してくる言葉の圧がすごいです。ぜひそこまで読んでそのままどっぷり最新刊あたりまで買いきってもらいたいもんです。
配本はフツーな感じですのでどこいっても売ってない!みたいなことはしばらくはそんなにならないだろうと思います。まぁでも当時読んでた若者が結婚して家庭持って、アニメアニメした表紙のものを置けない隠れファンには待望なのかもですね。
個人的には単なる出し直しという意味合いだけでなく、作品展開の新しい情報(私たちが待ち望んでいるもの)がいずれ出るための布石とかだったらうれしいのですが、吉報やいかに。