コンビニの成人誌撤去で書店の売場に影響はあるのか

結論から言うと、ゼロではないが"ほぼ無い"と思います。

多分に内部的な話もあるので詳細は割愛しますが、簡単に挙げると以下のような理由がありまして。

●いわゆる"コンビニ向け成人誌"は版元自体が書店卸しの版元とは異なるケースが多い

●書店卸しの商材もある版元含めて、ミニストップが扱いを止める話しが出始めるよりも前から電子媒体への移行等対策準備をぬかりなく進めている

上記は関係者談がニュース媒体で出ているものもあるので目にしたフレーズだと思います。

なので、いきなり書店側にその配本が回ってくるかどうかというと、契約的な話とかも含めて、無いですし、書店に成人誌の配本が上積みされるかといえば、今の取次の配本システム上ありえないロジックなのでいきなりどうこうなりようがないのですよね。実績なんですよ実績。あとAi。

なのでいきなり並べる商品が増えたりというようなことも無いですし、そうなったところで成人誌を、書店に買い求めに行くようになるのかというと生活習慣的な意味でも、無いと思うわけで。書店側もこれで「よし!そのうちエロ本の売り上げ上がるわ!」なんておもって無いのです。よほど特殊な立地(来客層がかなり男性偏重あるとか)ならべつかもですが。

売上話ついでにですが、どなたとは申しませんが「成人誌市場45億もあるのに、それ竹書房何個分よ?」と、竹書房の取締役に喧嘩腰(と、私には見えたのだが)に食ってかかる引用RT型ツイートをみかけたりもしましたが、たった45億ですよ。去年の雑誌の総売上5930億円の1パーセントにも満たないの。その数字(45億)どっから取ってきたのか確認取ってないのであれだけどまぁどっかの数字拾ってきてるんだろうから適当な数字ではないと思うのでその数字を使うにしても、1パー満たないの。

で、コンビニの雑誌棚、7棚くらい入り口にあってそのうちの一つが成年誌みたいな感じじゃないですか。棚割上からすると雑誌内の成人誌の影響少なくなさそうに見える。15パー弱。

しかしじゃあこれを書店の雑誌棚で見るとですよ、大体30から40棚あるうちの棚半分からひと棚くらいのスペースしか取ってないくらいが平均だと思います。これでも雑誌棚全体の棚割の数パーくらいですが、市場の売上金額の割合からするにそれでも効率的に見ても取り過ぎなわけで。このスペース内の商品が多少増えたところでミクロの一書店の数字に置き換えるとそう大した金額にはならないわけで。さらにインショップとかはデベロッパーからの入居条件に成人向けアイテム取り扱いNGがあって、置いてないところもあるわけで、ますます影響は限定的になります。

てか改めて思いますが、あのコンビニの棚は他の日用品食料品他が結構ドラスティックに棚割作ってるなかで一番ユルユルな効率無視な棚だったんじゃないですかねというところで、五輪がいい口実になったんじゃないでしょうか。

むしろコンビニ成人誌論争が終わって今度は書店店頭にクレーム付けにやってくる輩が増えるぞー多分。ってところで逆に心配事が増えました。先日ラノベの表紙マウント騒動があったばかりですし、専門店の店頭にまで乗り込んでゾーニング論振りかざすのも出てるわけじゃないですか。最初に書店の売り上げに影響はほとんど無いと言い切りましたが、ことこのご意見ご要望と言う名の売場キラーが現状の売上まで奪っていくようなことがあれば、それは「間接的に影響があった」と言えるのかもしれません。いずれにせよ、時代だと思うべきなのか、なんかおかしくなってるなと思うべきなのか、なんともいえない今日この頃だなと感じる書店員でした。

萌特化書店(仮)で商品部バイヤーとしてコミックの施策担当を生業にせし書店員。リアルジョブは書店名を隠してますが同上コミックバイヤーです。コミックラノベ方面の話題に絡んだ話とかたまにします。