植込みを通り抜けてざわざわとする後ろを振り返ると、夏の花が目に飛び込んできた。通りゃんせ通りゃんせ。微かな花の声が幾重にも重なって無限に押寄せ続ける。私は目と耳を花に塞がれて呼吸が浅くなる。ぎらぎらした夏の花。通りゃんせ通りゃんせ。私は気を失いそのまま後ろへ倒れてしまった。
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夏の思い出