倒れた私は意識の中で自分が羽化する姿を見た。うつせ身の世の事なれば外に見しよすがと思うものは知らずも。私の周りには万の葉が繁っている。花は私から遠ざかった。事の端は花ではなく葉であった。夜のしじまに言の葉が生まれ触れ合い落ちていく。森は変わらずしんとしている。(了)
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夏の思い出