通りゃんせ通りゃんせ。鼻唄を歌いながら歩くと花が後ろへ逃げてゆく。ざわざわという風の音に花が揺れて私から遠ざかっていく。花は遠ざかるが茎や葉は其の儘知らぬ顔で私の足元に在る。歩みを止めて気づいた。風は無かった。私が花へ近づくと植込みだけが揺れ花が落ちてゆく。夏の花よ歌って呉れ。
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夏の思い出