とおりゃんせとおりゃんせ。橋を見上げると女が歌っている。囁くような歌がここまで聞こえてくるのは妙だと思っていたら、女の前に男が現れた。女の声は風に乗ってこちらへ聞こえてくる。男はつむじ風になって、川下のほうへ散っていった。行きはよいよい帰りはこわい。女は相変わらず歌っている。
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