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今日の気分

曇天のツーリング。

ちょっと走るなら

こくどう306

出発するのはA地点、多賀大社の交差点。
そこからB地点の関ヶ原まで。


多賀大社の交差点で少し休憩をしていると、国道306号へバイクが進んでいった。

行先を決めあぐねているときは、走るのが好きそうなライダーを見つけてその後ろにつく。あるいは「この交差点を曲がっていったな」と覚えておいて、あとで地図を見る。

「よし、いい道が待っている」

同じ峠でも、道幅が狭かったり、浮き砂があったりすると、思うように走れない。その情報は地図だけからは得られない。いまはgoogle mapがあって道の様子まで確かめられるけれど、まだそういうツールが整っていないときの話。

野性の勘と、地元ライダーが流れていく方向。

わたしはバイクを見送って缶コーヒーを飲んだ。いまだと「缶コーヒー」というもの自体、ピンとこない。コンビニのコーヒーもおいしくなったし、500ccのボトルに入ったコーヒーだってある。

さて、
背伸びをしてからエンジンに火を入れてバイクに乗る。バイクに乗って走りながら、腰をひねってみたり、ステップを交互にギュッと踏んでみたり、コーナーをさばく準備をして国道306号を進んだ。

しばらくして前を走るバイクに追いついた。交通量が少ない証拠だ。すれ違う車も片手で足りるほど。

教えてくれてありがとう。バイクや車をパスするときは右側に膨らみ、追い越すときに左手であいさつをする。

そうして自分の世界へ。

バイクと対話する。道と、空気と対話する。対話する、というのは言葉を通じてではなく、身体を通して。
自分がインプットした力加減は、バイクを通して地面にどう伝わるのか。体重移動、アクセル、ブレーキ、速度域…。それに対して、地面は、バイクはどういう情報をわたしに返してくるのか。
こうだろうか、ああだろうか、とコーナーの度に手探りで、コーナーをさばく「正しい感覚」を見つけ出そうとする。バイクは、地面は、正直だ。無愛想なこともあれば、気持ちよく走らせてくれることもある。

峠はトンネルになっていて、そこをすぎれば下り坂だ。雲の色が濃くなった。

いい道を走ると気持ちが昂ぶる。人によってはUターンしてもうひとっ走り、ということもある。わたしはツーリングの途中。

桑名の方へ右折しても、いいペースでは走れないだろう。となると、次の"いい道"を探してまた山の方へ。国道365号。ここは車の流れに沿って。

そうしてたまたま訪れた、関ヶ原。
曇天から小雨が降ってきた。