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大西伝一郎 〜不登校児の母の涙〜

氏のWikipediaによる略歴をまず記しておきますね。

愛媛県西条市出身。玉川大学卒業。1958年から愛媛県で小学校教員を務め、1995年新居浜市立中萩小学校長を最後に退職。1960年代から椋鳩十に師事し、児童向け図書、指導書などを数多く刊行した。1961年『僻地教師の記録』で読売教育賞、1998年『お手玉』写真絵本で愛媛出版文化賞を受賞、厚生労働相・中央児童福祉審議会推薦文化財指定、2003年『目の見えない犬ダン』が映画のモデルになる。2004年『がんばれ!しろくまピース』がサンケイ児童出版文化賞推薦作に選ばれた。
2022年3月29日、急性肺炎のため西条市の病院で死去、87歳。
          −Wikipediaより−


お時間ある方はまずは少しだけでもWikipediaをご覧ください。👇

たくさんある著書の中で、唯一、私が読んだことのある本は、「ネパールにかける にじの橋(小学館)」。小学生の時に、学校の図書館で読み、その本の表紙絵を図画の時間に描いた記憶があります。

「ネパールにかけるにじの橋(小学館)」表紙絵  
昭和37年1月、医師が不足しているネパールのタンセン病院に赴任した岩村夫婦。現地で結核に苦しむ人々を目の当たりにした岩村医師の、結核の根絶のための治療の日々・・・。

今週の記事は、大西伝一郎さんの話です。
では本題に入りますね。

70歳代ご夫婦が仲良くお住いのとある講社。
おつとめのあと、お茶をいただきながら、この一ヶ月の出来事や思ったことや、世間話や、あれこれと茶話会的直会。美味しいお茶菓子なんかもいただきながら。
「会長さん、こんな私たちにも孫が5人もいて、いま幸せです。娘二人の子供たちだから、みんな外孫だけどね(笑)」とケタケタ破顔で可愛い孫たちの近況などをお話しになる。
「だけど、ウチの長女(Kちゃん、て呼びますね)は、小学生の頃は一時期大変だったのよ」と過去を懐かしむ。

このご夫婦は、旦那さんのお仕事の関係で、家族で国内をあちこち転勤しました。そして、Kちゃんが小学校の頃、何度目かの転勤となった。
転勤=子供は転校。
という、恐らく、「期待に胸膨らませ」、という感情よりかは、「不安しかない」、といった気持ちだろうね、きっと。
案の定、Kちゃんは、転校した学校に全く馴染めず、ついに登校しなくなったそうです。
そのことを心配した、当時の校長先生だったのが、タイトルの大西伝一郎先生。

大西伝一郎先生は、不安いっぱいの心持ちでときどき登校してくるKちゃんに、「無理に教室に行かなくてもいいよ、校長先生と遊ぼう!」といって、一日中、校庭や体育館などで遊んだそうなんです。給食も一緒に食べたり。
そんな期間が数ヶ月に及んだそうですよ。
来る日も来る日もKちゃんと大西伝一郎先生との2人ぼっちの姿が昼間の学校にありました。そんなある時、大西伝一郎先生がKちゃんの両親に、
「もういいでしょうね。お父さん、お母さんから、『学校、頑張りなさい』とKちゃんに強めに言ってみてもかまいませんよ」と連絡があった。
お父さんは、Kちゃんの気持ちを慮って、普段、登校のことを言わなかったが、大西伝一郎先生の助言に従って、意を決してKちゃんに面と向かって
「学校に行きなさい!」と告げたそうです。
するとKちゃん、あれほど嫌がっていた学校に素直に登校し、クラスに合流して、以来、なんのトラブルもなく学校生活を楽しく過ごしました。

マンツーマンで、何ヶ月も、諦めることなく、気長にKちゃんと学校で過ごしてくれた大西伝一郎先生に感謝とお礼を伝えるべく、お母さんは校長室へ大西伝一郎先生を尋ねました。
その時、大西伝一郎先生は、ニコニコとしながら、お母さんに優しくこう言いました。
「お母さん。Kちゃんの育て方が間違っていたなんて、これっぽっちも思っちゃダメですよ。」と。
お母さんは、その場で涙を流して流して、泣き崩れたそうです。
そしてKちゃんは、無事に卒業して次の進路へと進みました。

Kちゃん、現在はもう三児のお母さん。
Kちゃんにとっての一番の恩師は、クラス担任ではなくて、大西伝一郎先生。結婚した際も、すぐにその挨拶と報告に、一番の恩師の元へといったそうです。

件のご夫婦は当時を懐かしみながら、笑顔で、だけど最後は目に涙を浮かべつつ、私にそんな昔話をしてくれました。

「ああ、今日は、とっても素晴らしいお話が聴けたなぁ」
と、私は、美味しい茶とお菓子でお腹いっぱい、心温まるお話で胸いっぱいになりました。

大西伝一郎先生。
素敵な本と教師の背中を遺してくれてありがとうございました。

追記
たくさんある大西伝一郎先生の著書には「がんばれ!しろくまピース(文溪堂)」という写真絵本がありますよ。
1999年12月、愛媛県立とべ動物園で生まれたメスのホッキョクグマの赤ちゃん。それが、ピースです。ピースは、母ぐまがうまく子育てできないため、日本で初めて人工飼育で育てられることになったのです。これは、ピースが1歳になるまでを写真でつづった絵本です。動物園では見られない、たたみの上に寝ころぶ姿など、めずらしい写真もいっぱいです。
よろしければ一度手に取ってみて下さいね♪

「がんばれ!しろくまピース」

今週も最後までお読みくださりありがとうございました。

ほっこり😊☺️

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