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生成系AI時代に必要なスキルは、「お節介スキル」

 映像やWEB制作、プロモーションを手がけるサンキャク株式会社の竹内竜太さん(以下Ryuさん)は、旺盛な好奇心で時代の変化を楽しみながら乗りこなしています。わずか1年で英語を身につけたノウハウをYouTubeで発信して注目を集める傍ら、生成系AI(人工知能)「ChatGPT」もいち早く使いこなし、今や「AI中心に会社が回っていて、なくては仕事にならないほど」と言います。2023年はChatGPTの講師としても奔走しました。いつも時代の最先端を歩んでいるRyuさんが考える“これから”とはー。


転職するつもりがYouTuberに!「まさかこんな人生になるなんて」

起業したきっかけを語るRyuさん

 以前はソニーに勤務していました。2017年に転職を考えて英語の勉強を始めて、1年間の様子に学習ノウハウの紹介も交えて「45歳からの英語『英会話RyuTube』」としてYouTubeで発信したら、チャンネル登録者数が6千人になって。何人かから「英語を教えてほしい」とリクエストももらったので、転職後に副業にできるかもと生徒を募集したんです。そうしたら想定を上回る人数が集まってしまって(笑)。次の動画で「3ヵ月待って」と言って、起業を宣言しました。1年間は広告収入とスポンサーからの案件だけで生活するYouTuberでしたね(笑)。最終的に登録者数は2万5千人ほどになりました。まさかこんな人生になるとは思わなかったです。
 今は映像制作・YouTubeの番組制作・各種SNSのコンサルや広告代理店業を仕事にしていますが、元々は動画制作をサラリーマン時代に副業としてやっていました。ソニーにいた時にAIのアルゴリズムに触れていたし、SNSに似たものも作っていたので、SNSを動かすためのAIの仕組みは分かっていて。だからYouTubeの動画制作時も「この路線でいけば外さないだろう」みたいな感覚はあります。
 動画は「発信の総合格闘技」だと思っているんです。サムネイル画像をパッと見た時の視認性やタイトルのコピーライティングも大事だし、どのような層に刺さるかも意識して編集しないといけない。離脱が多いとYouTubeの評価スコアに影響するので、どう引っ掛かりを作るかも重要です。だから結構奥が深いと思いますね。

Ryuさん率いるサンキャクのメンバー、得意分野が異なるエキスパートが揃う


「インターネットで世の中が変わる」直感を信じ、音楽ウェブメディアを立ち上げ

 子どもの頃から新しい物好きで、好奇心のかたまりでした。1996年に社会に出てインターネットを知った時、電話回線を使って世界のコンピューターにアクセスできることにワクワクして、直感的に「これで世の中が変わるだろうな」と思いました。その頃、音楽ランキングなどのデータベースを作る会社でアルバイトをしていたのですが、ラジオやテレビで流れた音楽を聞いて何が流れたかをメモ→データ入力→集計するという人海戦術をしていたんですよ。
 すごく無駄な作業だと思って、仕事したくないなぁと思って、自動化したくて。それでエクセルの勉強をしてマクロを組んだり、インターネットを使って何かできないかと考え出したんです。
 未来はネットで音楽を聴くようになると思い、会社の許可を得て、WEB制作を独学で学び、会社のWEBサイトと音楽ウェブメディアを作りました。取引先のレコード会社にお願いしてCDジャケットの画像をサイトにもらって記事に貼り付けたり、インタビュー記事をライターに書いてもらったりして。
 会社のWEBサイトとWEBメディアの発信に目を留めて話を聞きたいとメールをくれたのがソニーでした。それ以降取引がはじまって、「うちに来てくれないか」とスカウトをいただいたので転職しました。当時のWEBメディアの編集部が後に「ビルボードジャパン」になります。

ネット以上に衝撃を受けたChatGPT。オフィスに籠って研究し、現在は講師としても活躍

昨年5月にG Innovation Hub Yokohamaで開催されたChatGPT勉強会

 今年はChatGPTの講師としての仕事も増えました。この時期のAIの台頭は予想外でびっくりしましたね。AIは1958年くらいから開発されていて、エアコンを調整している機能、ゲームや迷惑メールを判別するのもAI。ずっと身近にあったのですが、ChatGPTは、誰でも自然言語を使ってコントロールできるようになったことが革新的です。インターネットを知った時以上の衝撃を受けましたし、その時と同様にこれからいろんなものがこれに置き換わるだろうと思いました。それでオフィスに研究室を作って、研究を始めて、SNSなどで情報を発信していたら、企業や政治政党、専門学校やデジタル庁関連の組織まで、さまざまな分野から講師として呼ばれるようになったんです。
 ChatGPTのIQは156くらい。人間でいうと1万人に1人くらいの賢さがあって、1日に100件以上のとんでもないスピードで企画書を書くこともできます。今はもうAI中心に会社が回っていて、ないと仕事にならないほどです。
 でも今年の春ごろに、自分のやることがなくなるかもしれない、、という大げさな妄想が膨らんで怖くなってしまって。僕が以前G Innovation Hub Yokohama(以下G)に入居していた際に知り合った、IT/AI領域に詳しい、横山隆さんと平松猛男さんと一緒に昨年5月にGで「ChatGPT活用方法勉強会」を開催することになりました。その会で「僕は生成AIをコントロールできているの?自分の現在地が分からない」と相談したんです。そうしたら「超上級者、変態レベルで使えている」と褒めていただいて(笑)、少しほっとしました。

これから価値が上がるのは面白くて世話焼きな“スナックのママ”のような対応力。そのスキルを磨きたい

Gで開催されたIT事業者の交流会で自己紹介するRyuさん。関内周辺にも人脈が広く、まさに「関内で働く」を体現

AIが進化し続ける中で、人間に必要なのは「原点回帰」だと思っています。例えばシェアオフィスGの説明や入居手続きはAIが全部できますが、スタッフが入居者にしている「〇〇さん、朝ごはん食べた?」みたいな気軽な声かけはAIにはできません。ロボットならできるんですが、人間はロボットにそれをされたくないんですよ。だから“スナックのママ”のようなお節介とか、人の感情を動かせることが、これから人間の価値になっていくと思います。人と人が顔をあわせて盛んに交流していた昭和の感覚に戻っていくような感じですね。
 実は先日、10社が参加した映像制作のコンペにすべてAIが書いた企画書を出したら勝ったんですよ。「ついにきたな」と思って嬉しくて。いずれ各社がAIで企画書を作って横並びになる時代がくると思っていますが、そこで効いてくるのが”この人としゃべると面白い”とか、世話をしてくれるという、スナックのママのような対応力のはずです。これからはそういう人間らしさを磨いていけたらなと思っています。

関内のおすすめスポット…「TARPtoTARP」
打ち合わせにも利用できるキャンプをテーマにしたカフェ。室内なのにキャンプ場のような雰囲気が気に入ってる。それが古いビルの2階にあるところが関内っぽい!独自に作ったスパイスを使っているというキーマカレーがおいしい。


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