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深夜テンションで地球温暖化について考える

COP26という会議がイギリスで開催されて,地球温暖化に関する新たな国際的な合意が成されたそうだ.具体的には,気温の上昇を産業革命時代から比べて1.5度以内に抑えることを目指すという.そのためには化石燃料の使用に対して具体的な制限を設けることが必須で,2030年時点での達成ノルマが加えられたそうだ.これらの動きと呼応する形なのか,SDGs(sustainable development goals)というキャッチフレーズの下,様々な定量的・定性的な社会の変革を進めることが必要だという風潮が高まっている.

1.5度の気温変化量は小さすぎて人間が体感することは難しい.日本の気温は,昼夜で10度以上変化するし,季節による変化も大きい.そこで,日本の気象予報を行う気象庁の発表する過去の気象データを用いて,日本の気温はどのくらい上昇しているのか取り出して,議論したい.

温暖化を「体感」することが目的であれば,自分で温度計を設置し気象観測を行うことが望ましい.しかし,数十年にわたって一定の品質の気温データを提供するには想像を絶する苦労が伴う.そこで,日本の気象業務を担っている気象庁が発表している気象データをもとに議論したいと思う.

データの出典:
気象庁の過去のデータ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/
から,各地域ごとの年平均気温データを取得.具体的には
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/cgi-bin/view/allhist.php?reg_no=36&year=0&month=0&kind=0&elem=0
から北日本・東日本・西日本の集計値をExcelにコピーして集計.

気象庁のこのサイトでは,日本全体(沖縄など除く)が「北日本」「東日本」「西日本」に大別されており,この3区域の面積は目分量でだいたい等しい.よって,この3地域の平均を取れば,およそ日本全体の気温の「平年」からのズレが算出できると考えた.

線形の回帰直線を引くと1946~2020年においては,平均気温の上昇量は1年あたり0.02度,つまりこの75年間だけでも既にちょうど1.5度上昇していることになる.産業革命以降(1800年頃か)の気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標は,日本の気温に関して言うならば既に難しいということになる.もちろんCOP26で設定された気温上昇の数値目標は,全球的な気温についてであろう.

こうやって自分でデータ(といっても気象庁が集計したものであるが)を眺めてみて感じたことは,「産業革命から1.5度」という数値目標一つとってみても,どういう基準のもとに取得されて集計された気温情報をもとにして現状の気温上昇量を評価するのか? という問題は付きまとうだろう.さらにその数値目標をもとに各国の化石燃料の使用量に制限を加えるならば,すべての国が(究極的には地球全員の人間が)その評価方法について同意する必要が出てくるだろう.果たしてそんな評価方法を作成することは可能なのだろうか? 宗教の違いが原因となる戦争は絶えないが,21世紀では温暖化の評価基準を巡る戦争が起こったりしないだろうか? 恐ろしく感じる.

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