岸田文雄 内閣の「新自由主義からの転換」は衆院選用の芝居。実態は「デジタル田園都市国家構想実現会議」の構成員に竹中平蔵、野田由美子を登用。

 2021年11月9日、岸田文雄 内閣は、「デジタル田園都市国家構想実現会議」を新設し、構成員を公表した。
 構成員の中には、竹中平蔵(株式会社パソナグループ 取締役 会長 / オリックス株式会社 社外取締役)、野田由美子(ヴェオリア・ジャパン株式会社 代表取締役 会長)が含まれている。
 竹中平蔵と野田由美子は、いずれも民営化、PPP/PFI(官民連携/民間資金等活用)の推進者である。

デジタル田園都市国家構想実現会議
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/

デジタル田園都市国家構想実現会議の開催について(令和3年11月9日内閣総理大臣決定)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/konkyo.pdf

デジタル田園都市国家構想実現会議名簿(令和3年11月9日時点)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/meibo.pdf

【 議長 】
岸田文雄(内閣総理大臣)

【 副議長 】
若宮健嗣(まち・ひと・しごと創生担当大臣)
牧島かれん(デジタル大臣)
松野博一(内閣官房長官)

【 構成員 】
野田聖子(内閣府特命担当大臣(地方創生))
金子恭之(総務大臣)
末松信介(文部科学大臣)
後藤茂之(厚生労働大臣)
金子源二郎(農林水産大臣)
萩生田光一(経済産業大臣)
斉藤鉄夫(国土交通大臣)
石山志保(福井県 大野市長)
井澗誠(和歌山県 白浜町長)
太田直樹(株式会社New Stories 代表取締役)
加藤百合子(株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 社長)
正能茉優(株式会社ハピキラ FACTORY 代表取締役 / 慶應義塾大学大学院 特任助教)
竹中平蔵(慶應義塾大学 名誉教授)
冨田哲郎(東日本旅客鉄道株式会社 取締役会長)
野田由美子(ヴェオリア・ジャパン株式会社 代表取締役 会長)
平井伸治(鳥取県知事 / 全国知事会 会長)
増田寛也(東京大学公共政策大学院 客員教授)
村井純(慶應義塾大学 教授)
柳澤大輔(株式会社カヤック 代表取締役 CEO)
湯崎英彦(広島県知事)
若宮正子(特定非営利活動法人 ブロードバンドスクール協会 理事)


 岸田文雄 内閣は、2021年 衆議院議員総選挙の前に「新自由主義からの転換」を掲げ、成長戦略会議(竹中平蔵、デービッド・アトキンソン 等が構成員)を廃止したが、自由民主党の公約には、インフラへのPFI方式、コンセッション方式導入を推進することが書かれている。
 そして、選挙後、岸田文雄 内閣は「デジタル田園都市国家構想実現会議」を新設し、竹中平蔵、野田由美子を登用した。
 つまり、岸田文雄 内閣の「新自由主義からの転換」、成長戦略会議の廃止は、単なる衆院選で勝つためのパフォーマンスであり、本音は安倍晋三 内閣、菅義偉 内閣と同様に、「民営化」、「PPP/PFI(官民連携/民間資金等活用)」という名の特定の民間企業による公共事業へのタカり、中抜きを継続する意向であるということだ。

【 2021年 衆院選 自民党 公約 】
◆社会資本整備
空港、水道、下水道、道路、高速バスターミナル施設等のコンセッション事業をはじめとしたPFIの積極的な推進を図り、"新たな事業・雇用の創出" や "民間投資の喚起による地域の活性化"を実現します。

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211011_bank.pdf


 2018年1月18日、英国会計検査院 が公表した報告書「PFI and PF2」には、下記のような内容が書かれている。

PFIが公的な財政にプラスであるという証拠は乏しい
・ 総じて公的に資金調達されたプロジェクトよりPFIスキームは高くつく
・ 学校建設の分析では政府が直接ファイナンスするよりも40%割高
・ PFIでは、公共による資金調達よりも2から4%(一部では5%も)資金調達コストが高く、さらに多額の付加的な費用資金調達のアレンジメント・フィーが元本の1%程度、マネージメント・フィーが事業総額の1~2%程度など。)がかかる
・ 公共部門にとっては、25年から30年という長期スパンでは費用がかさむとしても、短期又は中期的(5年程度)で見ると負債を圧縮できるので魅力的である。このため公共部門の意思決定がPFIに好意的になり、PFI事業を進めるために、VFM(Value for Money)評価が甘くなる
・ 英国財務省はPFIのメリットとして、事業リスクを民間に移転できること、長期的なランニングコストが軽減されること、を挙げていた。しかし、実際にはこれらは概ね実現されず、PFI事業は開始時には予見していなかったコストをカバーするために高くついた
英国でのPFIのピークは金融危機直前の2007年から2008年(86億ポンド)であり、その後急速に減少。現在では1990年初頭(PFIが始まった頃)よりも案件の額が少ない

 2018年10月29日、英国のフィリップ・ハモンド財務大臣は、「今後新規のPFI事業は行わない」と宣言した。

 2021年5月14日、日本の会計検査院が、報告書「国が実施するPFI事業について」』の中で、国のPFI事業に於いて不適切業務があった点と、PFI方式と従来方式での維持管理費を比較したところ、PFI方式は従来方式よりも1.06~2.85倍高額だった点を指摘した。

 これまで、日本国政府、自民党、民主党は、「PFIは英国では成功している」という前提の下、PFIを推進してきたが、今や、その前提は崩れている。

 日本国民を欺いてまで、竹中平蔵や野田由美子を登用し、PPP/PFIを推進する岸田文雄 内閣は、「新自由主義からの転換」をする気など毛頭無い、「竹中平蔵の下請け内閣」、「ヴェオリアの下請け内閣」だといえる。

 日本国民にとっては、今後、より一層、水道民営化、PPP/PFI、スーパーシティ構想を推進する動きに警戒すべき状況となった。


■ 日本の会計検査院が、PFI事業の不適切業務と、従来方式よりもPFI方式の方が割高であることを指摘。
https://note.com/gifu_water/n/n3fc77773f1e4

■ 「水道民営化で特需か 仏ヴェオリア日本人女性社長の“正体”」(日刊ゲンダイ / 2018年12月11日)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243421

■ 「おはよう寺ちゃん(ゲスト: 藤井聡 京都大学大学院 教授)」(文化放送 / 2021年11月11日)
[宮城県の水道民営化について] https://youtu.be/Kshki_7OWKE?t=620
[デジタル田園都市国家構想実現会議] https://youtu.be/Kshki_7OWKE?t=2032

■ 『岸田首相「PFI」推進へ「アクションプラン」策定を指示』(NHK / 2022年4月27日 21時40分)