入社1年目、PMIを任された。CFO直下で「答えまで出し切る」ギフティ新卒の歩み
2022年に新卒でギフティに入社し、翌年1月には子会社の※PMI(Post Merger Integration)を任された井上拓さん。事業戦略策定から経営陣のサポート、新規事業の立ち上げまで、事業開発や経営管理を担当しています。
就職活動では、戦略コンサルや投資銀行を志望していましたが、「『実行』を伴うことで社会を広げたい」「リスクテイカーとして、自由に山を登りたい」との思いから、事業会社を志望。数多くある企業から、ギフティを選びました。
井上さんがどのような就職活動をしてきたのか、また現在どういった業務に従事し、なににチャレンジしているのかなどについて、インタビューを通じて話を伺いました。
〈プロフィール 井上 拓(いのうえ たく)〉
京都大学経済学部 卒業。2022年に新卒で、ギフティに入社。CFO直下の経営企画室にて、企業価値向上を目的とした国内外企業への出資M&A検討およびリサーチ業務、事業案策定まで広く担当。現在はM&Aにより子会社化したクラフトビールのサブスクリプションサービスを手掛ける「meuron」社のPMIを担当。
※PMI(Post Merger Integration):M&A(企業の合併・買収)が成立した後、統合による効果の最大化を目的として行われる一連のプロセス
社会を広げるため、文化を作るため、「実行」の舵を握りたい
──井上さんは就職活動の序盤、戦略コンサルや投資銀行を志望していたとのことですが、その理由と、なぜ事業会社にシフトしたのか、お伺いできますか。
原体験的な話になってしまうんですが。母が支援学校の先生で、障害のあるお子さんたちと関わる機会が多くありました。基本的に、障害の定義や度合いというのは、既存の社会の中でどれだけ生きづらいかに関わってくるのですが、そうであれば社会の側を変えることで、もっといろんな人が能力や個性を発揮できるようにしたい、と思ったんです。だから僕の中で「ビジネス」というのは、社会環境自体を作り変えられ、新しい文化を作るもの、なんです。
そういう中で、戦略コンサルや投資銀行を志望していたのは、「戦略」の部分をビジネス上の一番の上位レイヤーと考えていたから。でも、業界について調べていく中で、考えが変わっていった。というのも、自分はあくまで、社会を変えたり、新しい文化を作ったりしたい。そうなったときに、「実行」を伴う必要があることに気がついた。
たとえば、自らがリスクテイカーである事業会社は、株主さえ説得できればある種どんな登り方、描き方も制限なくできるため、市場や社会にとってのあるべき姿に、自らをベットし続けられる。戦っている最中でも、外的環境の変化によって、戦略自体にフィードバックをかけていくことができる。そういう意味で「実行」の舵を握っている。
他方、戦略コンサルや投資銀行の場合、そのプロジェクトの実行者ではないため、構造上のリスクや外部環境の変化など、不確実性への受容の度合いが低い。
コンサルだから、事業会社だから、という区分けは少々雑ですが、長期で新しい価値を生み出すことを主眼に置くのであれば、戦いながら描き続けることができる事業会社のほうが魅力的だ、と感じたんです。
ギフティの特徴は、事業の時間軸の長さ。「論理」と「感性」のバランスがいい
──事業会社の中で、ギフティを選んだ理由はどういったものだったのでしょうか。
自分には社会を知らないという自覚があり、どういう人が存在していて、その中でどういう力学が働いているか、という点に興味がありました。だからフラットに、業種や業態、組織規模などを絞らず、いろんな組織を見ていく中の一つとしてギフティに出会いました。
まず面白いと思ったのは、業界の結節点になっているということ。eギフトという、誰しもが使いうるものを扱っている点からして、多くの業界が関わっているのだろうと思いました。
実際にeギフトというプラットフォームには、ネットワーク外部性が効いています。eギフトを生成するコンテンツパートナー(CP)と、それを市場に流通させるディストリビューションパートナー(DP)、この2つが双方に上手く機能している。流通サイドが伸びるほど、eギフトを作りたい企業も増えていくし、そのぶん業種も業態も広がっていく。
逆に、eギフトを作りたい企業が増えれば、流通サイドも伸びていく。このサイクルを回し続けられるという構造的な強みがある。eギフトというある種の核を押さえているから、そのうえになにかしらのコンテンツをアドオンすることで、新しい文化形成もできる。そういうことも自分の求めている「ビジネス」だった。
そしてもうひとつは、組織としての柔軟性です。ギフティの特徴のひとつとして、事業の時間軸が長期に渡る、という点がある。「ギフト(贈り物)」という人間の生理に関わるもの、昔からあるものを、いまの社会に合わせリデザインしている、文化形成や人間の認知形成まで含めて行おうとしているため、どうしても事業の射程が長くなるんです。
そして時間軸が長ければ長いほど、目標として定めたとおりの道筋にはならず、都度修正していくことになる。そもそも人間のCPU的に描ききれないところが出てくるので、どうしても「論理」だけでなく「感性」が必要になってくる。そこのバランスが、ギフティはいい。
たとえば、数多くあるベンチャー企業は、バックキャスティング的に目的・目標を強く定め、そこに対して人が集まる、人が駆動する、という状態を作ろうとする。でもそうなると、目的を動かすことができなくなってしまう。そして、組織自体がその目的自体に対し、硬直した状態になる。
でもギフティの場合、射程が長く組織がしなやかなため、人が当てられたら、その人の能力や個性に合わせて配置するという、フォーキャスティング的なやり方が取れる。決められた道を登っているだけでは気づかなかった収穫があったり、場合によっては自分たちが登れるより高い山が見つかったりと目標自体も更新されたりする。
そういう組織的な柔軟さがあるんです。バックキャスティングとフォーキャスティング、論理と感性、そういったもののバランスがとにかくいい。そこに魅力を感じました。
「全部自由にやっていいよ」任せてくれたからこそ、死ぬ気でやり切る
──実際に入社することになり、現在ではPMIを担当されている井上さんですが、どのような経緯で、担当することになったのですか。
まず入社してから9月頃までは、月1件ほどのペースで、企業への出資や協業案件に携わっていました。
企業との関わり方は、事業ベースでの「協業」から、もう少し一緒に描きたい未来があれば「出資」というかたちで資本関係に、より密にということであれば「M&A」と、グラデーションになっています。
なので、私の部署はギフティの事業戦略に基づき、外部のアライアンス先企業とどのような関わりを持っていくかを検討することがメイン業務となっており、その中でも協業や出資案件について多く携わらせて頂きました。
僕がPMIを担当しているmeuronさんは、入社1年目の1月にグループジョインして頂いたのですが、その検討自体は前年の9月ころからやっていて、僕も主担当として関わっていました。
両者が組むことでどういう未来が描けるのかの議論、出資という範囲で行うのか、グループジョインを依頼するのかといった意思決定、既存株主さんとのコミュニケーションなど、資本関係の組み方ふくめ、がっつり任されていました。
そこから1月に契約自体がクロージングして、一緒に走り出そうという次のフェーズも、会社的には「全部自由にやっていいよ」と任せてくれる感じで。
実際にどういう絵を描いて、どう登っていくかという詳細を、先方の経営陣と詰めていく。契約までは、外側からある種コンサル的に介入していたのを、今度は中に入って考えていく。先方が、いままで積み上げてきたものがある中で、どう新しいかたちにしていくか。先方の大事にしてるものってなんだろう。今あるストーリーを、どう先方のロジックに落とし込んでいけるだろう。とにかく必死に考えた。
こちらは新卒、向こうは経営陣ということで、当然プレッシャーはありました。「新卒」という扱いをされたら負けというか。毎ミーティング、恥ずかしいものは持っていけないので、まず古今東西あらゆる事例のインプットをしたうえで、自分の中ですべての論点を切り出して、それから構造化、再整理してというのを繰り返して、納得のいくものを作っていきました。
常に1、2段上の仕事が振ってくる。だから、健全な背伸びができる
──会社的なバックアップ、先輩のフォローなどはどうでしたか。
社内的にも、かなり自由にやらせてもらっていたと思います。というのも、ギフティでは責任単位、論点単位に切り出したうえで、その中では任せる、といった仕事の渡し方をするし、うちの部署においては「最終的に経営ができるように」という目標がある。
なので、もちろん僕が白旗を上げれば助けてくれるけど、基本的には「なにを考えるか」というところから、考えていくことになる。僕の場合は、最終成果物を先方に持っていく段階で、それを経営陣にどう当てていくかを徹底的にスパーリングしてくれる感じ。
「仮説も含めて答えまで出し切る」というのを強く求められる会社なんですよね。とにかく結果と行動で示していく。そうやって信用残高を貯めていくと、新しい仕事が来る。常に等身大ではなく、1、2段上のお題が振ってくるので、健全な背伸びができる環境、という感じがあります。
「温かさ」と「冷たさ」ギフティメンバーに求められるバランス感覚
──最後ですが、ギフティには、どんな素養を持った人が向いていますか。また井上さん自身、どんなメンバーに入ってほしいですか。
温かさと、冷たさ、その両面を持っている人が向いていると思います。まずギフティって本当にいい人が多いんですよ。自分の作るもの、社会に還元するものに対して温度感を求めてる人が多い。
ギフトの会社だし、受け取った人がどういう気持ちになるか、とちゃんと考えている。500円分のプレゼントをもらったら嬉しい。ただ経済合理性を考えたら現金でいいんですよね。でも、+αがあるから喜べる。この「+α」をみな考えています 。
一方で、ある種の「冷たさ」もあるんですよ。アウトプットとして、最大限人の気持ちを動かそうとか、温かいものにしようと考えると、どうしても事業体としての余白が必要になる。
余白を生むためには、内部はできるだけ合理化して、目的も精緻に整理しておかなければいけない。そうしないと、温かさを生み出す余裕がなくなってしまう。ギフティメンバーには、温かさと同時に、そこの合理性や目的意識がしっかりある。
ギフティが、to Bの面で成長しているってのは、その証拠だと思うんですよね。CEOの「遠く離れた人に誕生日おめでとう伝えられないの寂しい」から始まった会社で、それによってできるeギフト文化というのは温かい。でも to Cの温かい面だけをやり続けていたら、きっとeギフト文化はここまで広がらなかった。
いったんB向けとして、eギフトというもの自体を世の中に広めていくこと、そしてto cのサービスに振り分けるだけの事業基盤を作る、というところをやっていった。だからここまで成長している。そういう意思決定ができるのが、ギフティメンバーらしい。論理と感性のバランスもそうですけど、温かさと冷たさのバランスがいい。
ギフティには、いろんなタイプがいて、いろんなタイプを包含できる環境があって、挑戦できる機会も多い。だから人を選ばないということろはあるけれど、やっぱり、バランス感覚がよくて、好奇心旺盛で主体的な人は楽しめると思います。
(取材・文・撮影・編集:清水 翔太)