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校内研究を自分事にする

どのような役割でも、関わる人の参加率を上げ、主体的に動いてもらうことを期待するものだと思います。自分が関わる必要性が高いと感じるものであれば参加率は高くなります。校内研究は、全員が関わっているように見えて、研究主任と校内研究の授業者だけの参加率の低いものになりやすいものだとも感じています。関わる人が少なくなると一人分の負担感が増えます。その人たちは自分事にも感じますが、「自分だけ」にも感じます。それがみんなに認めてもらえることであればやりがいもありますが、そんなことばかりではないかもしれません。また、少数の自分事を、周りの人は他人事に感じてしまいます。こうなっては校内研究の価値が高まっていきません。校内研究の価値を高めるために、関わる先生方が自分事に感じらるようにすることが必要だと感じています。

 私が取り組んでいることとして1つ目は、研究する教科を学年の先生方に決めてもらうことです。選ぶことは主体性につながります。教科の選択権を渡すことは、校内研究をまとまりのないものになることもありますが、学校教育目標と校内研究としての目指す姿をリンクさせ、全校での課題意識を共有理解しておくことで、教科としてではなく、学校全体を見て子どもの力を育てていくことができます。1番学年の子ども達のことが分かり、一番その子たちに合った指導ができるのは学年の先生方です。その先生たちに責任をもって研究教科を決めて進めてもらうことで、自分事として捉えやすく、指導の熱量も上がると考えます。ただこれは、研究授業とセット進めるほうがいいと感じています。授業がなければ、学年の取組を全校の先生に見てもらう機会が保証されません。

 2つ目は、個人の課題を設定して、年間を通じて振り返っていくことで、校内研究と自分をつなげていく仕組みをつくることです。教科を学年で決めえても、学年の先生と話し合う中で、どうしても個人の思いがそのまま出せないこともあります。学年主任の考えが強く出てしまう場合もあるかもしれません。そこで、先生方それぞれの課題を、今年度の個人の研究テーマとして言語化し、校内研究のたびに振り返って、他の先生方にも見えるようにすることで、100パーセント自分事に感じてもらい、PDCAを回してもらうことができます。体の中(校内)を血液(校内研究の学び)が循環するイメージです。ここで考えたことや取り組んだことを夏の研修で交流し滞らないようにします。

 3つ目は、研究部会の仕事です。どの学校でも校内研究の枠組みの中で、学年に1人研究部会に入ることになることが多いかと思います。各学年で1人ずつ出てきてもらった8人に、どのような仕事をしてもらうかで、また参加率が上がっていきます。研究主任になったばっかりの頃は、できもしないのにすべて自分でやろうとして、他人事の雰囲気をつくってしまっていました。渡せる仕事は部会の先生方に丁寧に渡して、任せらるようになったらほぼ主任はノータッチで進めてもらうことで、研究の仕事を自分事に感じる人が少しずつ増えていきました。どんな部を作るかも学校によって変わると思いますが、3つ程度の部を作って2・3人ずつ入ってもらい、仕事を分担させてもらっています。今年度は、異動して初年度ということもあり、なかなかうまくハマっていない感じがあります…。

 4つ目は研究授業の後に、必ず学年会と個人の振り返りの時間をつくることです。1つ目と2つ目の取組で設定した目標や取り組んだことがどうだったのかを振り返り、次のアクションを考えるところまでを1つにパッケージすることで、普段の授業や校務分掌の業務に忙殺されている先生方も立ち止まって考えてもらうことができます。この時間を確保するためには、事後研究会の時間も長くなりすぎないようにしておかないと、いくらでも時間を使っていいというのでは、校内研究の価値が下がってしまうことにもつながります。ここで言語化したことは、職員室に見えるようにすることで、一緒に働く先生方が何を大事にして仕事をしているのか、その一端を感じることができると考えています。

 5つ目は、4つ目とも関わりますが、公開授業を授業者だけのものにしないということです。これは、みんなで授業をつくることで授業を自分事にする方法ではなく、授業は授業者のものとして担保して、その授業を批判するのではなく、自分の担当する学級・学年の授業や指導に生かすようにと考えて研究会を進めるようにしています。このことは毎回の事後研究会の冒頭に5~10分時間をいただいて、校内研究の進め方や大切にしてほしいことを伝えるようにしています。
 
 このような取組を行うことで、先生方が自分事として捉えていただいていると感じられる部分もあります。ただ、どこまでいっても先生方の思いを私が決めることはできません。これは必ずとお願いする負荷と、ここは決めてくださいと伝える自由度のバランスを、その教職員集団をつくっている先生方の様子によって変えていくことが大事だと思います。
 また、この1~5の取組を誰が頼んでいるのかも重要だと思います。つまり、どうしてあの主任が言うことに協力しないといけないのか、と思われてしまうと自分事も主体性もなくなっていくと考えています。あの人が言うんだから協力しよう、やってみよう、と思ってもらえるような働きを自分自身ができるように、まずは自分から動くことを心がけています。今年も半分が過ぎて、このように考えて進めてきた結果が、表れ始める頃。先日、協力的に動いてくださる先生が自主的な公開授業をしてくださって、私の思いが少しずつ伝わってきていることを感じて、うれしく思っています。年度末の反省の中で、先生方にどのような思いを聞かせていただけるのか、期待と不安を感じながら、それでも楽しみにしておきたいと思います。

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