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『オレンジ色の嘘』

「ぼく、知ってるんだ…!この世界ってオレンジ色だけじゃないんでしょ?母さん…」
少し成長した羽を動かしながら、一羽の猛禽類が言った。
「オレンジ色だけよ?でも、ちゃんとオレンジ色の種類を教えていなかったわね。ごめんなさい」
「オレンジ色の種類?」
猛禽類の子はもしかして、と呟く。
「クロとかアカとかってみんな言ってた…」
「そう!そのことよ」
「クロってどういう意味?」
猛禽類の母親は微笑見ながら、
「暗いオレンジ色を略してクロって言うの」と返す。
「じゃあアカは?」
「アカトンボっていう虫がいるでしょ?ほら、あれは虫を研究していたアカっていう名前の人から命名されたの」
「うん、それで?」
「アカトンボのようなオレンジ色をアカって言うのよ?」
「……そうなんだ!」
「他にどのオレンジ色について聞きたい?」
「えっとね!えっと、じゃあ白!」
「ふふ、白はね…」

猛禽類の子は優しいオレンジ色の世界で、
今も生きている。

何種類のオレンジ色があるのかなぁ。

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