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なんちゃって夢十夜 3.


 いつだったか、こんな夢をみた。

 つま先から青に染まる少女は、頭のてっぺんから真っ白に染まる少女でもあった。
 海に足を浸せば青くなり、天窓から射す一筋の光を浴びれば白になる。
 時間が経ったら。時間が経ったらね。
 閉店前のビルのなかで、世間に嫌気がさした息子がやってきた。ひどく疲れた様子で、帰ろうとせず床に座り込むその姿に、警備のおじちゃんが困っている。
 海に帰ろうとしていた少女がそれに気がつき、美しい小さな手を息子に差し出した。

 原子の海。命を削るプログラム。
 時間外だけど、特別だよ。

 つま先から青に染まる少女。
 満ちていく潮。
 呼吸ができる海に沈みこみ、息子はふと、このプログラムの産みの親が自身の父親だったということに気がつく。
 
 少女は海と対話する。
 息子は目を閉じ、父親の作った海に身を任せ、ようやく眠りにつくことにする。
 その命を削りながら。

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