「私と飲んだ方が楽しいかもよ?笑」これ以上にずるい誘い方が他にあるのだろうか。
明け方の若者たちの冒頭、主人公の僕と、彼女の出会いはそのセリフから始まる。
小説『明け方の若者たち』を読み終えて、私は強い衝動に駆られた。
この小説を読み終えて、今の気持ちをどこかに残さずにはいられない。
現21歳の私には、自分の実体験ではないかと思うほど、日常生活に溶け込んでくる作品である。
この小説に書かれている、情景描写、セリフ、登場人物の心情、主人公のプレイリスト、そのどれもが私の日常とリンクしており、とても他人事では読めない作品であった。
主人公の”僕”が悲しめば私も悲しくなり、”僕”がその時その時で思う心情は、おそらく私がその状況に置かれても同じように考えてしまうことであり、”僕”が強いられる人生の決断に私も同じような決断をしてしまうだろうなと思う部分が沢山ある。
この小説を読み終え、今までのことを、あの人のことを、あの明け方の空のことを、考えていたい、と思った。
過去を思い出すことは、それほど悪くないのかもしれないから。
忘れかけていた、いや忘れようとしていた記憶を失わずにいられたのはきっと、この小説と出会えたからだろう。
心に残ったセリフ
”こんなはずじゃなかった人生”に打ちのめされている人もいるかもしれません。もしくは、これからそのような境遇になる人もいるかもしれません。
それでも、振り返れば全てが美しい。そう思わせてくれる小説です。
人生のマジックアワーを描いた、20代の青春小説です。
是非一度、読んでみて下さい。