やり残すべきこと
あれから2ヶ月が過ぎた。
何度も駄々をこね、そのたび君をしぶしぶ納得させてきたけれど、今回は何もしようと思わない。
いい加減に気付いた。
僕じゃだめだ。
彼女を幸せにできない。
一緒にいると楽しいし、こうして会えない時はとてもさみしい。それでも、一時の感情で全てを不意にしてしまう。
何度も傷付けた。
謝ることさえおこがましい。
許してほしいとは、もう思わない。
僕は大好きな人を何度も傷付けた。
一時の感情を優先して、一生大切にすべき人を、何度も。傷付けた。
自分でしておいて泣くなよ。馬鹿か。
本当はもっとこうしたいとか、今すぐにでもと
思うことはたくさんある。
でも、してはいけない。恨まれても、嫌われても、取り繕ってはいけない。
とにかく彼女を僕から隔離する。
僕は解決してあげられない。
時間に任せるしかない。
そのうちに、何もかもを忘れさせてくれる出来事が起こる。僕にとっての君がそうであったように。
3年2ヶ月。
思ったより長く住むことになったこの部屋から出で行くことにした。
この部屋がコスパ良すぎて、他の物件が全部見劣りするから探すの大変だった。厳密にはまだ決め切ってはいないんだけど、解約することは決まった。
なにより、彼女の家に近かった。
聞いたことなかった地名のこの町に沢山の思い出ができた。離れたくないという気持ちと、離れなければならないという気持ちのふたつ。どちらも同じ熱量で存在する。でも、なんのためにか考えたら、ひとつの答えになる。
自分のために残るのではなく、
彼女のために、出ていかなくてはならない。
人はひとりで生きていけるほど強くない。
自分のためだけに生きる人生に価値を見出すことは難しい。
でも、だれかのためなら頑張れる。
僕は、彼女のために頑張る。
何度も失敗してきたけど、最後の最後くらい、
ちゃんとやりきるんだ。
泣いてもいい。
後悔してもいい。
全部彼女のためになる。
いつか必ず。
やるべきこと。
やり残すべきこと。
僕の生きる理由。
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