適応障害の頃。
目が覚めた。
訪れた朝は静寂に包まれていた。
車や電車の音も通学する子どもたちの声も、鳥の囀る声すら聞こえなかった。
あゝ1人の世界に迷い込んだのかな。
誰もが一度は考えたことがあるのでは?
「この世に自分ひとりになったら-。」
遂にその世界が来たのかと、まだ半分夢の中にいる頭で考えていた。
そんな世界になったら、きっと人間関係の悩みなんて無くなるのに。と、そこの思考だけは寝ぼけを知らなかった。
その日の夜、気分転換に買い物に出かけた。
その帰り道、イヤホン越しに花火の音が聞こえてくる。
帰路を辿っていると、私の後ろの方を見つめる何組かの家族の前を通り過ぎた。
今年も花火を見ていなかったなあ、と思っていた。今なら見れるチャンスがそこにはあった。
でも、私には見ることができなかった。
花火の煌めきもそれを眺める家族も今の私には眩しすぎるくらいに映ってしまうからなのかもしれない。
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