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映画「茜色に焼かれる」
2021年に公開された不思議なタイトルの映画「茜色に焼かれる」この映画のポスターでは、主人公の良子(尾野真千子)が、洪水のように溢れんばかりの涙を寸手のところでダムのように堰き止めている。この刹那的でありながら、どこか力強さを秘めた良子の瞳は、映画を観る前から観る者に情動的な感情を駆り立ててくる。良子は、ここでもう、観客に問いかけているのだ。生きる、ということの根源的な意味、を。
良子は7年前に事故で夫の陽一(オダギリジョー)に先立たれて息子の純平(和田庵)を女手一つで育てている。それだけでも大変なのに、良子は無理を重ねて夫の愛人の子供に養育費を払い続けている。
いや、良子、放っておけ!
陽一の尻拭いなんか、することないって!
世間から、理不尽な目に合っても、
いつも笑顔で「まあ、頑張りましょう」
としか言わない良子に、私は見てて腹が立つ。
何で怒らないんだよ、良子?
いまの場面、絶対怒るべき💢じゃん!
って、何度ハラハラ、ドキドキさせられたか。
そんな良子を応援してくれる仕事仲間のケイ。
ケイ(片山友希)は自分も不幸な生い立ちなのに
明るく、あまり自身のことは語らない。まだ、若いケイに中学生の純平は次第に惹かれてゆくが、そんなある日、事件は突然起きた。
以前から純平を揶揄う中学の同級生の不良たちが起こした事件のせいで、純平は宝物だった父親の形見まで失い、良子たちは団地の立ち退きを迫られる。
「なぜ、僕らが引っ越さなきゃいけないの?」
と尋ねる純平に良子は答える。
「ルールを破ったからよ」と。
ここで私は、また叫びたくなる。
ルールを破っているのは良子たちじゃないよ?
懸命に生きれば生きるほど、社会の片隅に追い詰められてゆく良子たち。
しかし、引っ越し当日に良子の怒りのマグマは突然爆発し、その矛先は最近、良子をバカにした昔の同級生へと向う。でも、母親の異変に気付いた純平とケイは命懸けで狂いかけた良子を救い出すのだ。だが、その数日後にはケイとの悲しい別れが待っていた。
たった一人の友達は、もう側にいない。
でも、茜色の夕焼けの土手を純平と自転車に乗る良子の顔は、とても晴れ晴れとしていた。
そして、良子は若い頃にやっていた演劇を一人で復活させる。その劇を観て純平は叫ぶ。
「俺の母ちゃんは、やっぱり世界一だ!」
良子も、純平も、
悲しみや怒りのマグマを超えて、ゆけ!
たった一人の味方だったその人が消えても、
愛された記憶があれば人は強くなれるし、
人生を諦めない良子や純平やケイが、
私は、やっぱり大好きだ。
純平は、きっとイイ男になるよ💕
ってか、もう、なってるか🤗
#映画感想文
#茜色に焼かれる
#尾野真千子
#オダギリジョー
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