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「目に焼きつける、ともすれば消えていくばかりの現象の枯葉に、怒りをもって敬う。静かな夜に、穏やかな夜に」これは詩人である鳥類ちゃんのことばだ。私にはよくわからない。わからないけれど、鳥類ちゃんの作るラーメンは絶品だ。


昼には鳥たちが鳴くだろう。朝の目覚めを告げた鳥は、同じように昼にも鳴く。朝食を作り終えた鳥類ちゃんは人生に飽いたといいつつもまた本を読み始める。さいきん、うまく眠れないし、起きてもやることに追われるし、精神面がダークサイドに落ちかけているようだ。本なんか読まなきゃいいのに、と思わないでもない。けど、今となっては本を読むくらいしかやることなんてないのだろう。私がマンションの回廊を周遊するしかやることがないように、彼女もまた、字を追いかけて脳に知識を刻みつけることしかやることがない。

真夜中に、目が覚めると、大抵はふたつの黒い瞳が天井に瞬きをしている。夜のすきまに流れ込んでくる憂鬱はひどく厄介だが、友達とよべるようなひとが鳥類ちゃんしかおらず、また私のような凡俗なヒト科しかおらず、私たちはなんだかんだいって夜と仲良しだ。本来は夜行性の生き物なのかもしれない。


日記なのだ。
残念なことに。

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